お勧めの英語本5選B-30

Friday, 30th June 2023    

お薦めの英語本解説05/05

  1. Escape from Chernobyl by Andy Marino

 

1986年に、チェルノブイリで実際に起こった原発事故に基づいて書かれていますので、当時が思い出され、恐ろしさもひとしおです。(2021年出版。当時はチェルノブイリと呼ばれていましたが、今では『チョルノービリ』とすべきなのでしょうか?)あまり知られていない東欧の内部事情なども書かれていて、思わずいろいろと調べてしまいました。短めの最新の動画を選びましたので、興味を持たれた方は、こちらをご覧ください。

 

  1. A brief history of modern Ukraine - BBC News

www.youtube.com

 

  1. History of Russia in 5 Minutes - Animation

www.youtube.com

 

  1. Mystery of Chernobyl Nuclear Disaster|The Worst Disaster ever

www.youtube.com

 

要約

Chapter 1

16歳のインターンYuri は、チェルノブイリ原子力発電所で勤務するのが、子供の頃からの夢でした。そのために勉学に励み、インターンの地位を確保したYuriは現在、地元プリピャチのラジオ局に勤める叔父Pavlo のフラットに、同居させてもらっています。インターンとは言っても、実際は雑用係のようなもので、施設内部の液漏れのモップ掛けしかさせてもらえませんが、下積みを経験し、知識と経験を得て、将来頭角を現すのだと、心に誓っています。

 

 

Chapter 2

プリピャチの豊かさは、Yuriの住んでいたモスクワとは桁違い。食品のみならず、敵国であるはずの西洋の品物が、ふんだんに揃っています。叔父のフラットには、叔母のMayya、Alinaという女の子と、弟のLevがいます。愛国心の強いYuriは、仕事中は忠誠心の塊のような叔父が、自宅では西洋の習慣や食べ物を我先に取り入れ、西洋人のように振舞っていることが、我慢できません。政府の運営するラジオ局に勤めていながら、自分の子供達に西洋の音楽を聴くことを許可しているなんて!いつもはぐっと我慢して口を閉じているYuriでしたが、その日は夜勤で出勤する直前に、叔父と言い争いになってしまいました…。

 

 

Chapter 3

出勤前の、叔父との言い争いが気になって仕方ないYuriですが、タービン音の異常に気付きます。原子力発電のしくみを良く知るYuriは、不安が拭えません。なんとかしなくてはと、原子炉第4号機のコントロール室に向かいますが、爆音とともに足元を掬われ、口の中で血の味がします…。

 

 

Chapter 4

その爆音で目を覚ましたAlinaは、米国軍が空襲を始めたのか、はたまたエイリアンの襲来か、と一瞬錯覚を起こしますが、すぐに状況に気付きます。『大変、原子力発電所にはYuriがいる!』夜中過ぎだと言うのに、お父さんは電話でなにやら深刻な口調で話をしています。そして、誰かがドアをノックする音が!! こんな時間の訪問者が、良い知らせを告げに来るはずがありません…。

 

 

Chapter 5

その訪問者は、こんな時間にも関わらず、まるで勤め先からやって来たかのような、きちんとした服装をしていて、顔の筋肉がピクピク引きつっています。幾度となく会っていますが、彼の顔がそのように引きつっていたことは、今まで一度もありません。彼の名はYakiv Kushnir。ママの幼馴染で、最初の恋人です。一緒に映った写真を見たこともありますし、家族ぐるみの食事会などでも、何度も会っていますが、何故か息子のFedirも連れて来ています。『つい今しがた聞こえた爆音は実験の一環で、想定範囲内なので、心配することはない。それよりも、今から家族揃って、我々とモスクワに旅行に出掛けよう!』などというYakivの言葉を、信じる者は誰もいません。『本当のことを聞くまで、我々はここを動かないからな』というPavloの言葉に、Yakivはついに真相を明かします。『プリピャチは今夜を境に、安全な場所ではなくなってしまった。一緒に来てくれなければ、君たちは皆、ここで死んでしまうことになるであろう…。』

 

 

Chapter 6

一方Sofiyaも、爆音で目が覚めます。寝返りを打って、また眠りに就こうとしていると、夜遅く帰った父が、枕元に来ています。SofiyaはAlinaの親友で、Yuriと2度ほどデートしています。父のHedeonは、原子力発電所に勤める科学者で、母は昨年亡くなっています。帰宅して間もない父は娘に、実験の際にちょっとした誤差があったので、また出掛けなくてはならないと告げます。決して外出しないことをSofiyaに約束させ、自分が戻るのを待つように言い残して、父は出て行ってしまいました…。

 

 

Chapter 7

父の自宅待機の指示にも関わらず、真相を知りたいSofiyaが外に出てみると、通りは人々でごった返しています。口の中で、金属の様な嫌な味がします。Yuriからもらった放射線計量器で測定してみると、正常値0.3をはるかに上回る2.08を示しています。『皆さん、野外は危険です。屋内に戻ってください!』そう叫びながら、SofiyaはAlinaを探しに向かうのでした。

 

 

Chapter 8

モスクワに移動中の車の中で、AlinaはSofiyaのことを考えています。初めて会った時の事、親しくなって、あらためてお互いが全くと言っていいほど、正反対であることに気付かされたこと等々を思い出していると、暗い車道をSofiyaが歩いているではありませんか!『停めて下さい!すぐそこの道を友達が歩いているの!』ところが、Yakivは車を停めるどころか、加速して『なにがあろうとも、もう後戻りはできないんだ』と言います。一体Sofiyaはどうなってしまうのでしょう?

 

 

Chapter 9

ほどなくして、SofiyaはAlinaのフラットに着きます。いつものように入り口から入って、52号室のドアの前に立ち、チャイムを鳴らしますが、いくら待っても返事はありません。恐る恐るドアノブを回してみると、鍵は掛かっていません!中に入ってみると、一家揃って慌てて荷造りして、出て行ってしまったことは明白です。一体何が起こっているのでしょうか?

 

 

Chapter 10

その頃、原子力発電所の事務所では、上司のLeonid Orlovに召喚されたAlinaの父Hedeonが、国家保安委員会の職員の同席のもと、状況説明を要請されます。

 

 

Chapter 11

Hedeonがいくら説明しても、Orlovは第4号炉が爆破してしまったことを、信じようとしません。それどころか、自分の体裁だけを気に掛け、上司への報告の印象を良くするための努力をせよと申しつけます。目に見えないからという単純な理由で、放射能の恐ろしさを全く理解せず、Hedeonが市民を非難させるよう懇願するも、『プリピャチから、誰一人、一歩も外に出すな!』と命令するのでした。

 

 

Chapter 12

原子力発電所では、少しでも状況を改善すべく、Yuriが悪戦苦闘しています。するとそこに、焼けただれた皮膚がぶら下がった半死状態の人間が、フラフラとした足取りで現れ、Yuriに近づいて来ます。恐ろしさのあまり、叫びながら後ずさりするYuriの脳裏に、焼け落ちてしまって、皮膚が殆ど残っていない顔から、眼球がぶら下がった恐ろしい顔が、永遠に焼き付けられてしまいます…。

 

次に現れたのは、Yuriが常々敬意を抱いていた原子力発電所職員のLeonid ToptunovとYuri Gagarinです。Yuriは2人に加わって、タービンの冷却作業を始めます。そもそも手動操作仕様ではないものを、放射能と爆発の衝撃で弱った体で何とかしようとするなど、全くの自爆任務です。

 

 

Chapter 13

明け方になると、Alina達を乗せたヴァンは、さびれた家屋の前で停まります。ここで一休みするんだと言われても、何故昼夜が逆なのでしょうか?Yakiv曰く、『渋滞を避けるため』ですが、Alinaはそれを素直に信じるほど、子供ではありません。寝室に連れられて行き、『Sofiyaはどうなるの?Yuriは大丈夫なの?』と問いかけるAlinaに、Yakivは『子供達は、ここで寝なさい』!LevとFedir が寝入ったことを確かめると、Alinaは大人たちのいる部屋に向かい、ドアの隙間で聞き耳を立てます。そこで驚愕の事実を知ったAlinaは、SofiyaとYuriを助けるべく、プリピャチに戻る決意をします。

 

 

Chapter 14

翌朝。Sofiyaは父からの電話で、街を出るよう指示を受けます。『屋外は危険なので、屋内でバスを待ち、待っている間に荷造りをすること』に始まり、『外気にさらされた食べ物は全て捨て、窓を全て閉めて、家中を隈なく掃除すること…』と、手短な指示を伝えると、父からの電話は切れてしまいます。母が亡くなって以来、Sofiyaはこれほど孤独に感じたことはありません。

 

それでもやるべきことをやろうと決意したSofiyaは、父が持ち帰って来ていた白衣と保護マスクを着け、インターンの様ないで立ちで、一軒一軒近所を回り始めます。『屋外は危険です。窓を全て閉めて、屋内に待機して下さい。家中を隈なく掃除し、外気にさらされた食べ物は全て捨てて下さい』。

 

 

Chapter 15

事務所にて。緊急会議まであと一時間、コーヒーを飲みながら、Orlovは会議の内容を予測しています。原子炉第4号機爆破という予測不能な状況にも関わらず、会議に出席したメンバーはお決まりの手順を踏んで、会議は予測通りに進行し、責任者はしかるべく処分を受け、新たな担当者が任命され、市民には事態に異常がないことが通告されるのです。『プリピャチは完全に閉鎖致しました。長距離用電話線も切断済みです』若い職員が入って来て、Orlovに報告します。結局の所、体裁が全てなのだ。

 

 

Chapter 16

激しい嘔吐と眩暈に、気絶しそうになりながらも、病院には空きがないことを知ったYuriは、自宅に送還されるよりも、原子力発電所に留まる決断をします。すると、どこかで聞いたことのある声の誰かが、何かを懇願している声が聞こえます。Yuriは自ら助けを買って出て、職員Vasilyの友人Sergei Federovを救うべく、指図に従って、爆破されてガレキの山と化した建物の中を進みます。しばらく進むと、細い通路の奥から、低いうめき声に続き、『助けてくれ、抜けられないんだ…。』という声がします!

 

 

要約のはずなのに、またまた長くなってしまいました…。Alina達は国家保安委員会に捕まってしまうのでしょうか?YuriとSofiya、Sofiyaのお父さんは、無事なのでしょうか?続きが気になる方は、是非本書を手に取って確認して下さいね!

 

お知らせ

本来でしたら、来月末に次の図書を5冊をお勧めさせて頂くところなのですが、少し前から目を悪くしてしまいまして、パソコン作業が大変困難になってしまいました。紙の本の読書であれば、度の強い老眼鏡でできるのですが、色々と調節してみても、パソコン画面が眩し過ぎて、入力作業が続けられません。白内障の手術もまだ時期尚早という事で、この先5年間復活の見込みが立ちませんので、大変残念ですが、今回でBlogを終了させて頂くことに致しました。来年の6月まで、最低5年間は続ける予定だったのですが、肉体の衰えは気力ではどうにもなりませんね…。

 

長い間、お付き合い頂きまして、ありがとうございました。GEOS卒業生の皆様でしたら、以前と同様のリラックスした読書会スタイルで、ZoomまたはGoogle Meetにて読書をご一緒させて頂くこともできますので、ラインにてお気軽にご連絡下さいませ。IDはmakylee(ウインク猫)です。

 

ありがとうございました。

お勧めの英語本5選B-29

Tuesday, 30th May 2023

お薦めの英語本解説04/05

  1. Sabertooths and the Ice Age
    by Mary Pope Osborne & Natalie Pope Boycek

『サーベルタイガーと氷河期』というタイトルから、自分が興味の持てる本かどうか、直ぐに判断できますね。興味がなければ、割り切って切り捨ててくださいね。残念ながら女の子にはあまり人気がありませんでしたが、太古の昔に思いを馳せるきっかけになれば、と思います。子供向けですので、専門用語も多くありませんし、あっても分かりやすく説明されていて、何と言っても固有名詞にフリガナがついているのがありがたいです。発音などは、今ではネットですぐに調べられますが…。

 

 

要約

Chapter 1

百万年ほど前、地球の温度がとても低かった頃のことを氷河期と言います。北アメリカの大部分が氷の下に埋もれていて、ヨーロッパ、アジアと南アメリカも、部分的に氷に覆われていました。氷河期は、約10,000年ほど前まで1,000年以上も続きました。恐竜達は、氷河期よりも、随分前に絶滅しています。

 

『氷河期』とは言え、1,000年間ずっとすべてが凍ったままだった訳ではなく、温かくなって氷が解ける時期もあったり、また寒くなって凍ったり…という繰り返しでした。なぜ氷河期が訪れたのか明確なことは、科学者でさえも解明できていませんが、おそらくは”Orbit”の変化によるものだと推測されています。

 

ここで、p15の欄外に挿絵とともに”orbit”という単語の説明があります。子供向けに、易しい単語で説明されているので、わざわざ辞書で調べなくても良くて、とても助かりますね!氷河がどうやってできたのか、当時の人々や動物達はどうだったのかも、合わせて説明されています。

 

 

Chapter 2

氷河期に現れた旧人類は、ネアンデルタール人(”nee-AN-dur-tallz”というフリガナ付きです)と呼ばれており、最初の化石はドイツのネアンデル谷で発見されました。(きっと、そのためにそう名付けられたんでしょうね。)約100,000年前に現れたこの旧人類は、ヨーロッパ、中東、北アフリカ、アジアの一部に住んでいて、かなり小柄で、寿命もうんと短かったようですね。

 

続いてホモサピエンスの登場です。P30-31に、頭蓋骨の写真が載っていますが、骨格がかなり違い、ぐっと現代人っぽくなっていますね。彼らは、火を使うことも学んでいます。なんと、実は、我々もホモサピエンスだったんですね!学校で習っていたはずですが、お恥ずかしながら、全く覚えていませんでした。社会の先生すみません…。

 

 

Chapter 3

氷河期の真っただ中の生活は、大変厳しく、マンモスの毛皮や骨、木の皮などで作った小屋に定住し、狩猟を中心とした生活でした。35,000~10,000年ほど前、ヨーロッパに現れたクロマニヨン人は、さらに現代人に近い容姿をしており、道具作りに大変熟練した技術を持っていました。ただ火を起こすだけでなく、煮炊きも覚えたようです。

 

 

Chapter 4

壁画というと、やっぱりラスコー洞窟の壁画でしょうか?発見されたのは、意外にもごく最近の1940年だったようですね。森の中で、迷子になった子犬を探していたフランス人の男の子達が、探しに入った深い穴で、偶然発見したんですね!授業中に、そんなエピソードを聞いていたら、居眠りなんてしてなかったかも知れないと思ったりもします。授業を楽しくするのは、容易な事ではないとは思いますが…。

 

ドイツとスペインの洞窟壁画についても、書かれています。思わずネットで他の壁画も探してしまって、見入ってしまい、またまた締め切りギリギリの危機に!!...そんな大昔に、芸術を極めようとするなんて、凄いと思いませんか?コンクールがあって賞金がもらえるわけでもなく、インスタでシェアしたり、FBでイイね!がもらえるわけでもなく、生命の維持に直接関わるような情報でもないものを、一心に描いていたなんて、感動的です。しかも、かなり精密で、美しい色彩!

Chauvet cave: Preserving prehistoric art - BBC News

www.youtube.com

 

Chapter 5

そしていよいよ、サーベルタイガーについてです。カリフォルニア州にある、La Brea Tar pitsという天然アスファルトの池の底に、サーベルタイガーを始め、誤って落ちてしまった動物達の化石が埋もれています。池の名前には『タール』という単語が使われていますが、実際にはアスファルトの池でした。アスファルトというと、道路の表面に使われている、人工的な現代の産業製品のようなイメージがありますが、そうではないのですね。地表に浮き上がって来た油が、長い年月の間に、粘度を上げて、自然に生成されるものなのだそうです。

 

発見されたサーベルタイガーの化石は、La Brea Tar pitsだけでも、およそ2,500体にものぼります。サーベルタイガーは、その名の通り、サーベルの様に鋭利な牙を持ち、体長およそ6 feet、体重は600 poundsにも及ぶ、巨大な猛獣です。1ftが30.48で1lbが0.453kgなので、約183cm、272kgですね。日本ではほとんど使われていませんし、覚えるのが面倒な方は、自分の身長や体重を換算して覚えておくと、とっさに計算はできなくても、自分と比較して、ある程度の感じがつかめますよ。

 

 

Chapter 6

この章は、マンモスを始め、その他、今までに見たこともないような氷河期の哺乳類についても書かれています。残念ながら、そのほとんどは、既に絶滅してしまったいます。

 

象同様、マンモスも体は大きいのに、草食だったのですね。サーベルタイガーなどの肉食獣に襲われると、体の大きさをフルに活かして、自分達の身を守るしかなかったようです。Wooly Rhinoという、読んで字のごとくの毛深いサイがいたり、2本脚で立つと、キリン位大きなナマケモノがいたり、Glyptodontという巨大アルマジロのような動物もいたり、現代のビーバーの7倍近い大きさのビーバーがいたりと、その頃の動物達はずいぶん大きかったようですね。

 

 

Chapter 7

約10,000年前、氷河期が終わった頃から、地球の周回軌道は太陽に近づきます。(逆なんじゃないの?近づいたから温かくなって、氷河期が終わったんじゃ?と突っ込みを入れたくなるのは、私だけでしょうか?)

 

地球が温暖化するにつれ、植物が枯れて食料不足になったり、病気が流行ったり、人間による狩猟なども重なったことで、マンモスなど、多くの動物が絶滅してしまいました。その一方で、ヘラジカ、灰色熊、野牛など、生き残ることのできた動物もいます。温かい気候により、人々の生活にも変化が表れ、狩猟型から、定住採取へと移行します。植物の栽培を覚え、集落を形成し、人口も爆発的に増加しました。氷河期の人口は、500万人にも満たないものでした。(現在の全世界の人口は、昨年末で80億人に達していると記憶しています。そのうちの大部分が、毎日、大量にプラスチックごみを出しているのですから、自殺行為としか言いようがないですよね…。)

 

祖先達はお互いに助け合い、氷河期という大変過酷な環境の中を生き延びてきました。それだけでなく、素晴らしい芸術も残してくれ、いつまでも私達に、ひらめきを与え続けてくれています。

 

次回予告

来月末は、Andy Marino著” Escape from Chernobylです。実際にあった事故をもとに書かれたフィクションですが、事件当時のことが、まるで昨日のことのように思い出されます。それほどまでに危険な原発が、人類にとって本当に必要なのでしょうか?脱原発を実行したドイツに、敬意を表します。

 

ではまた。

お勧めの英語本5選B-28

Friday, 28th April 2023     お勧めの英語本5選B-28

 

お薦めの英語本解説03/05

  1. Original Sin by P.D. James

内容もさることながら、美しい文章にグイグイ引き込まれてしまい、時間を忘れて電車を乗り過ごす、ということが重なり、ミステリー小説を読む時は、アラームを設定するきっかけになった一冊です。

 

人物関係をきちんと把握して、ストーリーを追いましょう。難しい表現や、馴染みのない単語は無視しても大丈夫です。よく見掛ける単語、どうしても気になるものだけ確認する程度にしましょう。

 

メモ

Chapter 1

主人公のMandy Priceは、パート勤務の初日に出勤して間もなく、死体に遭遇してしまいます(p13)。派遣会社に登録している速記のタイピストで、有能な腕とは裏腹に、かなり奇抜な格好を好んでいますが、なかなかしっかりした女性のようですね。死体発見直後にも関わらず、経営者の一人であるMiss Etienneに、タイピングのテストを受けるよう指示され、別室へと連れられて行きます。

 

 

Chapter 2

Claudia Etienneに別室に連れられて行くMandyを、上階で見ていたのは、Claudiaの弟で、最高経営者であるGerard Etienne。Mandyのことが気掛かりのようです。2人は、Sonia Clementsの自殺の原因は、この会社を解雇になったことではなく、ある事件に関わりがあったからではないか、と憶測します。相談の結果、昨晩遅く、最後に生きているSoniaをClaudiaが目撃したことについては、警察には言わないことにします。

 

 

Chapter 3

Mandyが別室でMiss Blackettからタイピングのテストを受けていると、お茶を持った女性が現れ、警察が到着したことを知らせます。そんな状況にも関わらず、Mandyは馴染みのある、蛇の形をしたドアのストッパーが気になります…。テストに合格したMandyは、明日から出社することに。

 

 

Chapter 4

Sonia Clements の死後10日が経過した頃、友人で出版社の編集者であるAckroydに昼食の誘いを受け、Dalgliesh警部がクラブに向かいます。かなり大柄なAckroydですが、活動的でいつ見ても若々しいそうですね。晩婚で、妻のNellyと2匹のシャムネコと暮らしています。Dalglieshはそこで、Ackroyd の妻の伯父にあたるLord Stilgoeが、脅しを受けたと伝えられます。Lord Stilgoeが受け取った脅しの手紙を、妻のDorothyは公にしたいと考えています。3件の死亡事故の前例もあり、個人的な攻撃というよりは、出版社への攻撃であると考えられます。

 

 

Chapter 5

Gabriel DauntseyとFrances Peverellが、タクシーでClements の葬儀に向かいます。お互いに好意を持ち、窓から様子がうかがえるほど近くに住んでいるにも関わらず、親しくなることを避けてしまっているようですね。妻子を亡くしたDauntseyは既に76歳。この日ばかりは一人ではいられないであろうとの配慮から、DauntseyはFrancesを訪れ、2人はチェスをして夜を過ごすことに。

 

 

Chapter 6

Blackettは、未亡人で年上の従弟Joan Willoughbyとフラットをシェアしています。面識のないSonia Clementsの自殺を伝えると、いつものように議論展開。『もうあの会社では働けない』というBlackettに、Joanはいとも簡単に『辞めてしまったらどうか?少なからず年金は入るだろうし、どこかにパートに出ても』と提案します。これ以上話しをしても無駄だと悟ったBlackettは、話を切り上げます。

 

Henry Peverellが心臓発作を起こした朝、急いで救急車を呼んだこと、お見舞いに行こうと、Francesに面会時間について訊ねたことなどを思い出します。集中治療室から出られそうだと聞いた矢先に、2回目の心臓発作で、Henry Peverellは帰らぬ人となってしまったのでした。

 

 

Chapter 7

Sonia Clementsの葬儀の帰り、James de Wittは誘いを断り、一人で帰途に着きます。代母から譲り受けた家屋は彼の誇りですが、不治の病で余命いくばくもないRupert Farlowと暮らし始めてからというもの、静寂は失われ、秩序も乱れ始めてしまいます。文才に恵まれながらも、Rupertが出版したのはたった2冊(ともにPeverell Press出版)。その後エイズに感染、放浪の旅に出た後に帰郷したことをFrancesから聞きつけたJamesが、Rupertを訪ね、人生の最後のステージを、施設ではなく、自分の家で送ってはどうかと誘ったのでした。

 

 

Chapter 8

Claudiaは葬儀の直後、恋人宅で過ごしています。骨董品の売買をしている恋人Declan Cartwrightとの出会いは、地下鉄事故でした。プロポーズされたこともあったのですが、慎重なClaudiaは簡単には受け入れません。フィアンセとして父親に紹介されていて、暫く前から、住居兼職場である家屋を、弟のGerardに£350,000-で買い取って欲しいとせっつかれています。

 

 

Chapter 9

Dauntseyはチェスの試合が終わるや否や、Frances 宅を後にします。一人っきりになったFrances は、疲れ切って眠れそうにもありません。昔のことを思い出します。引っ越ししてきた当時の事、5歳の時に母が亡くなって以来、Nanny Bostockに身の回りの世話をしてもらっていた頃のこと、Peverell Pressに入社して間もなく、Gerardに求められ、3ヶ月で捨てられたこと…等々。

 

 

Chapter 10

新しい職場でのMandyの勤務は、自殺に始まり他殺に終わったそうで、なんとも大変な四週間だったようです。契約社員歴3年目で、仕事の呑み込みも早く、なんでもテキパキとこなせるMandyは、その他の雑務も自ら率先し、梱包担当のDave, Carl, Ken達にお茶を出したり、訪問者に対応したりと大活躍です。給湯室の責任者Mrs Demeryと親しくなり、GerardとFrancesの関係、Claudiaと年下で骨董商の彼氏のこと様々、社内の噂話を聞きます。

 

Chapter 11

10月14日木曜日、Gerardの職場での一コマ。仕事中に、恋人Lucindaとの週末のことをぼんやりと考えているようです。

 

 

Chapter 12

重役会議が開かれ、いままで書記を務めてきたBlackettは、Gerardから席を外すように言われます。社外秘の内容であることに加え、アリバイがないから疑わしいという理由ですが、それは誰にも言えること…。Sydney Bartrum, George Coperandなど長年勤めて来た社員達の解雇、Esmé Carlingの最終作の出版取り止め、悪評高きSebastian Beacherの競合からの引き抜き等々、Gerardは次々とビジネスのアイディアを展開し、Innocent HouseをHector Skollingも売却すべきだと主張します。これに対してFrancesは『Innocent Houseは売却させないわ。私かあなたか、どちらかが死ぬまではね』と言い放つのでした。何とも物騒ですね…。

 

Chapter 13

Esmé Carlingが、突然Innocent Houseに現れます。出版取りやめの知らせを聞きつけた様子で、『予約なしでは面会できない』と断って逆鱗に触れてしまったBlackettは、Henry Peverellから、いかに疎ましく思われていたか等々をCarlingから聞かされ、一触即発の危機に…。奇跡的に最悪の事態は免れますが、Blackettは、会議を終えてやってきたGerardに泥棒呼ばわりされます。紛失した手帳の管理責任を問われているのを、面白そうに見ているClaudiaを見て、Mandyは大人の世界の醜さを学びます。

 

 

Chapter 14

Declanとの約束の日。骨董品店の買い取りを拒否され、社内で口論となったClaudiaが、18歳も年下の良家の女性と結婚の結婚を考えているGerardに、釘を刺します。『彼女に本当のことを言うつもりなのか?』弟に向かって言った気になる一言が、事件の重要なカギとなっていますね。一方Gerardは、さりげない様子で、『さっきまた脅しがあった』と、(おそらくCarlingからの)ファックスでの恐喝についてClaudiaに伝えます。Carlingを厄介払いしたがっているGerardですが、そう簡単に引き下がる相手ではないから、気を付けるようにとClaudiaから忠告を受けます。

 

 

Chapter 15

パブで行われた詩の朗読会の帰り道、タクシーを諦めて徒歩で帰途に着いたDauntseyは、何者かに襲われてます。財布を奪われたようでした。サインをもらおうと追いかけて来たファンに偶然助けられ、病院に運ばれました。

 

 

Chapter 16

翌日の10月15日金曜日の朝。Blackettは休みたい衝動をこらえて出勤しますが、通勤途中も心ここにあらず。出勤用ボートに乗り合わせた同僚達も、様子が変です。James が皆に、Dauntseyが強盗に遭ったことを知らせます。

 

 

Chapter 17

ボートを降りて建物に入るや否や、約束の時間を過ぎて待たされて、イライラした様子のLord Stilgoeが、Gararedが行方不明であると公言します。施錠はされていたものの、防犯アラームは設定されておらず、灯りは点いていなかったとGeorge。Mrs DemeryとClaudiaが階上に向かいます。Mrs Demeryは、Gerardが何者かに殺されたことを伝えます。蛇のドアストッパーで首を絞められ、蛇の頭部はGerardの口に詰め込まれていました。James, Lord Stilgoe, Dauntseyが上階に向かいます。

 

戻って来たLord Stilgoeは、オペレータのGeorgeに、ロンドン警視庁に連絡して、責任者もしくはDalgliesh警部を呼ぶように言いつけます。

 

ここまでがBook Oneです。この後Book TwoからBook Fiveまで続きます。またまた長くなってしまいました。続きを読んでみても良いかな、と思われましたら、ラインでご連絡頂くか、本書を手に取って、是非ご一読下さい。

 

あとがき

犯罪小説の女王と呼ばれたP.D. Jamesさんですが、かれこれ10年ほど前に、新聞で訃報を知った時は、大変残念でした…。

 

P.D. JAMES’ ADAM DALGLIESH BOOK SERIES IN ORDER

greatbritishbookclub.com

 

Dalglieshシリーズの他にも著書多数です。

www.bookseriesinorder.com

次回予告

来月末は、Mary Pope OsborneとNatalie Pope Boycek共著の”Sabertooths and the Ice Age”です。かなり古いですし、悲しいことに、Magic Tree Houseシリーズ自体が図書館から撤去されてしまいましたが、古本を探してでも、是非読んで頂きたい一冊です。

 

ではまた。

お勧めの英語本5選B-27

Friday, 31st  March 2023          お勧めの英語本5選B-27

 

お薦めの英語本解説02/05

  1. Dear Fatty by Dawn French

『自叙伝にしてしまうと、つまらないことまで書かなくちゃならなくなるから』と、手紙形式にしたとのことですが、楽しくて、とても素敵な自叙伝になっていると思います。

 

 

手紙の形式なので、ストーリーを追う必要はないのですが、人物関係はやはり大切です。新たな登場人物が出てきたら、しっかり把握しながら読み進めましょう。全て網羅してしまうと、またしてもとんでもない長文になってしまいますので、お薦め中のお薦めだけを選びました。

 

メモ

French一家について、ざっくり背景を。王立空軍に勤める父の転勤のため、幼い頃から全国各地を転々としてきました。お父さんは若くして亡くなっており、兄のGaryには、JackとHannah(Dawnさんにそっくりのようですね)という二人のお子さんがありますが、Dawnさん自身に子供はなく、養子縁組をしたBillieという女の子とご主人の3人家族です。(残念ながら、ご主人とは離婚されています。)

 

Dear Dad

pp11-16

Dawnが4歳くらいだった頃、French一家はQueen Mother*のご訪問を受けます。失礼のないようにと、家族全員で家をピカピカにし、新しい服を買って、お辞儀の練習を始め、エチケットの猛特訓が続きます。『どうして”Queen’s Mother”じゃなくて、”Queen Mother”って言うんだろう?』本当にそう思いますが、世継ぎの母親は習慣的に、そう呼ばれています。それをもじって、この手紙の中では、自分の母親の事を”Dawn Mother”と呼んでいますね。幼いDawnは、疲れと眩しさから幻覚を見て、Queen Motherが魔女だと思い込んでしまいます。話しかけられても、ろくに答えることも出来ず、Dawnはお父さんの足に捕まって、ガタガタ震えることしかできませんでした。

 

* Queen Motherは昨年お亡くなりになった、Queen Elizabethのお母さまにあたります。ご興味ありました、らこちらをご覧ください。Queen Motherはなんと157cmと、本当に小柄だったようですね。

www.royal.uk

 

 

Dear the Monkees

Pp23-24

11歳のDawnに戻って、あこがれのアメリカのボップグルーブのMonkeesへのファンレターを書いていますね。英語が母語であっても、11歳だとこういった間違いがあるのでしょうか?楽しく読みながら、驚きの間違い探しをしてみて下さい。

 

同年代のグループだと、どうしてもBeatlesばかりに気を取られてしまっていて、Monkeesのメンバーの一人がマンチェスター出身であることすら、知りませんでした!

 

ふと自分が11歳の頃を思い出してしまいました。当時はBay City Rollersが大人気で、小学生で英語も全く分からないくせに、『Ericカッコいい!』などと大騒ぎしていました。11歳って、そういう年齢なのかも知れませんね…。

 

 

Dear Dad

Pp68-77

家族旅行を計画中の、Dawnさんの悩みは、どうやって、趣味は好きなことがバラバラな家族が楽しめるようにするかです。ご自身の幼い頃の家族旅行は、とても楽しい物だったようですが、最近の子供達は自然と触れ合うことに興味がないのですね…。旅行のトピックから始まって、旅行中ではなくても、日常生活ですら、プライバシーを侵害される、有名人特有の悩みが描かれています。新婚旅行では、海外のホテルに泊まっても、部屋までパパラッチが入ってきてしまうし、娘さんの運動会を見に行ったら、構内アナウンスで『セレブのDawn Frechさんが来て下さっています!』と言われてしまうし…。もしかしたら、家でゴロゴロしているのが一番かも知れない、と締めくくられていますね。

この本は2008年に書かれているのですが、その頃既にFacebookPlayStationiPodがあったんですね⁉随分昔に感じてしまいます。

 

 

Dear Parents of everyone I ever babysat for

pp148-150

ベビーシッター中にやらかした、罪深い珍事悪事の数々の告白です。こんなことまで…!?というものもあれば、その位は大目に見てもらえるでしょう、という他愛のないものまで、30項目にも渡って書かれています。笑いが欲しい時に、サクッと楽しく読めますよ。

 

以下、366ページのDear Fattyまで続きますが、文字数の関係で割愛させて頂きます。長文も大丈夫だという方は、LINEにてご連絡下さいませ。

 

この本のタイトルでもある”Dear Fatty”の” Fatty”、誰の事だと思いますか?気になる方は、是非読んでみて下さい!

 

あとがき

この著書の他にも、”Because of You”という本を書かれているようです。相方のJenniferさんも、本を出版されていたのですね。

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テレビで初めて”French and Saunders”を見た時の衝撃は、忘れられません。それまで、UKのコメディにはなぜか馴染めなかったのですが、こんなにも面白い人たちがいるんだ…と。”Absolutely Fabulous”も楽しかったですが、Frenchさん単独の”Murder Most Horried”は、普通のホラーものとは全く違う種類の怖さが病みつきになりました。ご興味のある方はこちらをどうぞ。↓

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次回予告

来月末は、P.D. James”Original Sin”です。少々分厚いのが難点ですが、一週間の電車通勤往復にはちょうど良い感じです。薄い本だと、何冊か用意しなくてはならず、途中で読み切ってしまった後、退屈で退屈で…。”Sudoku”やクロスワードもカバンに入れると、結構な重さになりますが、最近は若い方が席を譲って下さるので、有難くお言葉に甘えております。歳を取っても、悪い事ばかりではないですね!

 

ではまた。

お勧めの英語本5選B-26

Tuesday, 28th February 2023       

お薦めの英語本解説01/05

  1. Animal Farm by George Orwell

“Animal Farm”とは、農場の動物達が自分達で運営する農場に付けた名前です。最初は、ごく当たり前に人間に運営されていた農場なのですが、理想の農場を築くため、動物達が人間を追い出して、自分達で運営を始めます。数々の困難を乗り越えた先は…?

 

いつもの通り、最初の1~3章では、特に人物関係(動物関係?)の把握に気を付けて。では早速、メモを取っていきましょう。

 

メモ

Chapter 1 Mr Jonesの農場にて

Mr Jonesの農場で飼われていた老齢の豚Old Majorは、年齢と経験、高い知能と知識から、他の動物達に尊敬されています。ある日、そんなOld Majorが夢を見ます。余命いくばくもないことを察知したOld Majorは、夢の内容を農場の動物達に伝えることが使命であると感じ、会合を持ちます。夢に出てきた、人間のいない平和な生活のこと、幼い頃に聞いた動物称賛の歌についてを語り終えると、『二本足で歩くもの(人間)は悪であり、四本足や羽を持つもの(動物)は仲間だ。今こそ反逆を起こし、人間を排除すべきである』という考えが、深く浸透します。Old Majorの歌った”Beasts of England”を、全員で大合唱するとMr Jonesが目を覚ましてしまい、会合は急遽終了となります。

 

白ヤギMuriel、農場で最年長でロバのBenjamin、犬のBluebell、Jessie、Pincher、そして馬のBoxer、Clover、Mollieは、この先も頻繁に登場します。それぞれの性格もメモしておくと、後で『なるほど!』と思えることが多く、楽しめると思います。

 

 

Chapter 2 動物達の反逆

Old Majorは、三日後に静かに息を引き取ります。Old Majorの意志を引き継いで反逆を企てるのは、3匹の豚Snowball、Napoleon、Squealerです。SnowballとNapoleonは、この先中心となって改革を進めますが、そりが合いません。補佐的な役割を果たす、小柄でまるまると太ったSquealerは、論争で言いくるめることが得意、Mr JonesのペットだったカラスのMosesは、優秀なスパイでした。

 

週末に酔っ払って、翌日昼過ぎに帰ってきたMr Jonesは、農場の動物達に餌をやるのも忘れて家に入ると、応接間のソファーに倒れ込み、またウトウトし始めます。怒りの頂点に達した牛がドアを蹴り破ると、他の動物達も続いて大暴れし始め、手に負えなくなった人間達は、大慌てで逃げ出します。こうして、Jones夫妻と4人の使用人は、農場から追い出されたのでした。反逆は大成功し、Mr JonesのManor Farmは”Animal Farm”と改名され、7つの掟が定められます。

 

  1. 二本足で歩くものは全て敵である
  2. 四本足で歩くもの、翼を持つものは全て同士である
  3. 動物は決して服を着ない
  4. 動物は決してベッドで寝ない
  5. 動物は決して飲酒しない
  6. 動物はいかなる動物も殺してはならない
  7. 動物は皆平等である

 

動物の中でも、豚はとりわけ知能が高いようで、猛勉強した甲斐あって、“friend”が”freind"と、誤って綴られていたり、アポストロフィの付け方が間違っている以外は、7つの掟は正しく書かれ、目につく場所に掲示されました。

 

 

Chapter 3 動物による動物のためのAnimal Farm

動物は全て平等だが、豚はとりわけ頭脳を駆使するから、という理由で、リンゴと牛乳を特別に配給されることになります。このようにして、この先も少しづつ、”adjustment”が加えらていきます。なんとなく、既に先が読めてしまいますね…。

 

 

Chapter 4 Mr Jonesの仕返し

農場を取り戻そうと、使用人達を従えたMr Jonesが、銃を持参して、Animal Farmを襲撃します。動物達は、このようなことは想定済み、準備万端でした。双方に犠牲者が出てしまいますが、最終的にAnimal Farmは勝利を納めます。唯一善人だった少年が、Boxerの蹄鉄を直に受けて、亡くなってしまいました。農場側は、銃弾に当たった羊が犠牲になりました。その他にも数多くの負傷者を出し、勇敢に戦ったSnowballも負傷しました。

 

 

Chapter 5 裏切り

生産性を上げて、快適な生活を送るための風車設立に大忙しのAnimal Farmですが、様々な事件が起こり始めます。砂糖とリボンの誘惑に負けたMollieが脱走、人間側につきます。風車設立に反対のNapoleonは、忙しく働くSnowballを冷ややかな目で見ています。

 

 

Chapter 6 Snowball追放

ある日突然、Napoleonが育てた犬に襲われて、SnowballがAnimal Farmから追い出されてしまいます。すると間もなく、風車設立に反対していたはずのNapoleonが、風車設立を再開させます。Squealerの説明によれば、Napoleonは、風車設立に反対していた訳ではなかった。そもそも風車設立のアイディアは、SnowballがNapoleonから盗んだものである。それ故、これまでの過程は全て、Snowballを追放するための作戦だったと説明します。

 

11月のある日、人間達の手により、風車が破壊されてしまいます。最初の襲撃から学び、大変な苦労を重ねて、壁に厚みをもたせて完成させた風車が、爆撃音と共に、無残に崩れて果てていました。『これはSnowballの仕業だ』と、Napoleonは続けます。『自分が追い出されたので、悔しくて仕返しをしたのだ』と。

 

Napoleonによれば、Snowballは最初からMr Jonesと手を組んでいて、農場の状況は全て、人間達に筒抜けになっていた。Mr Jonesによる農場襲撃も、うまく仕組まれたもので、疑いを逃れるために、Snowballにわざと負傷させたことは、発見された秘密文書から確認できる…(中略)

 

博物館として保存することで同意していたMr Jonesの住み家に、豚だけが住み始め、禁止されていたベッドでの就寝、飲酒も、掟に修正が加えられて、いつの間にか条件付きで可能になっています。やってもいない罪を自白をした動物達は、無残に殺されるか、自殺を強いられます。(実際の所、労働力が風車再設立に割り振られて、収穫が激減したため、頭数を減らすための対策だったのでは、と思われますが、あまりにも残酷過ぎて、途中で読むのが辛くなってしまいました。)これらについて、掟に逆らうものではないかと、首をひねる動物達もいましたが、口の上手いSquealerに、その都度うまく言いくるめられてしまいます。

 

幸せな生活を送るために始めたAnimal Farmですが、どんどん悪い方向に進んでしまっています。この先一体どうなるのでしょうか?気になる方は、是非続きを読んでみて下さいね。

 

 

あとがき

いつもつも、長くなってしまってすみません。出来る限り手短に簡潔に、と何度も書き直していると、いつも月末ギリギリになってしまいます…。視力もかなり落ちてしまったので、誤字脱字もかなり多いのではないでしょうか。重ね重ね申し訳ございません!(近々、眼科で検診を受けて参ります。)

 

上手にまとめてくださって、質問も受け付けてくださる、楽しいサイトを見つけました。

Animal Farm: Study Guide

https://www.sparknotes.com/lit/animalfarm/

内容について日本語でお話したいかたは、ラインにてご連絡下さいませ。

 

 

次回予告

来月末は、Dawn Frenchさんの”Dear Fatty”です。

 

ではまた。

今回のお薦めの英語本5選B-25

Wednesday, 1st February 2023

今回のお薦め英語本5

 

体調不良のため、投稿が遅れてしまい申し訳ございません。例によって、新旧ごちゃまぜ、難易度バラバラです。英語の本に初めて挑戦したい方は、こちらをご参照下さいませ。↓

初めての方にお薦めの英語本5選B-01

mamatange.hatenablog.com

 

初めての方でも安心して読める英語本は、勿論、この他にも沢山あります。読んでみたい本がありましたら、その都度ラインにて御相談下さいね。

 

読書する際のポイント

  1. 辞書はできる限り使わず、想像力で読み切る。
  2. 細かいことは気にせず、どんどん読み進める。
  3. 登場人物の特徴や人間関係、内容を大雑把にメモしておく。(付箋をその個所に直接貼っておくと良いですよ。)

動画と同様、分からなかったところは気にせず、分かったことを喜びとしましょう。各チャプターを、数行で要約に、ざっくり内容がつかめればOKです。英文読解しようとするのではなく、英語をツールとして、本を楽しむ感覚で読みましょう。文法は後回しで!

 

  1. Animal Farm by George Orwell

一言で言ってしまうと、政治色の濃い寓話になるのでしょうか。難しい単語も多くはないですし、ページ数も120ページと少なめですので、内容に興味を持てれば、読み進めやすい著書だと思います。初版は1945年ですが、今の世の中でも十分通用する内容です。

 

 

  1. Dear Fatty by Dawn French

悲しい箇所もありますが、流石にコメディアンだけあって、わざと単語を間違えて、面白おかしく書いています。そんなに多くはないですが、間違いを見つけるのも楽しいですよ。

 

 

  1. Original Sin by P.D. James

英国三大女流ミステリー作家の一人(自分で勝手に決めている)P.D. Jamesの著者の本で、初めて読んだのが、この著書でした。ボリューム満点で、通勤のお供に是非お薦めです。

 

 

  1. Sabertooths and the Ice Age by Mary Pope Osborne and Natalie Pope Boyce

こちらも少々古いのですが、歴史好きな男の子達に大人気でした。

 

 

  1. Escape from Chernobyl by Andy Marino

ごく最近出版されたものですが、かの有名なチェルノブイリ原発事故をもとに書かれています。原発が安全だなどと仰っている日本の政治家の皆様に、是非読んで頂きたい一冊です。

 

 

次回予告

今回は、新たな分野を加えてみましたが、まだまだマンネリから抜け出せていません。ご意見、ご希望がありましたら、ラインでお知らせ下さいませ。(id:makylee ウインク猫) ホラーだけは、勘弁してくださいませ…。

 

今月末から、毎月一冊づつ解説させて頂きます。

 

ではまた来月。

おすすめの英語本5選B-29

Saturday, 31st December 2022 

 

おすすめの英語本解説05/05

 

  1. Norwegian Wood by Haruki Murakami

今回は内容ではなく、表現にスポットを当ててみました。真似したくなるような、美しい表現が満載です。(国外向けJay Rubinさんの訳です。)

 

 

メモ

 Chapter 1

 

P6 (1行目から)

You’d yell at the top of your lungs, but nobody would hear you, and you couldn’t expect anyone to find you, and you’d have centipedes and spiders crawling all over you, and…

 

こちらは“field well”に落ちたら、どうなるかというNaokoの説明です。原書(日本語)は読んだことはありませんが、おそらく『どんなに大声で叫んでも』に近いものだと思われます。アメリカ英語には、”lung”を使った、このような表現があるのですね。ちなみにイギリス英語では”at the top of your voice”です。

 

 

P7 (2行目から)

Those beautiful eyes of hers were looking inside me for a long, long time.

 

“Her beautiful eyes”ではなく”beautiful eyes of hers”となっています。勿論”those”を使っていることもありますし、前者が間違いだというわけではないのですが、わざわざ文法をとことん勉強して暗記しなくても、『あぁ、あの時こういう語順で”of”の後は所有代名詞だったなぁ』と気が付けば、いつでも応用できますよね。本で読んだり、動画で見たことを覚えていて、気になるなぁ、知りたいなぁ、と思ってから文法を勉強する方が、よく理解できますよ。

 

 

Chapter 2

 

P24 (13行目から)

“I was a long distance runner at school, I’ll have you know…”

 

“I’ll tell you”でも”Let me tell you”でもなく、”I’ll have you know”なんですね。一般的な表現ではありませんが、お嬢様学校に通うNaokoにはぴったりの表現ですね。(その表現の使われている場面や、使っている人物に関連付けて理解しておくと、その場に適切な表気が、すんなりと出てくるようになりますよ。)

 

 

P27 (下から6行目)

“We hit it off straight away, tough.”

 

”click” と同様、“hit it off”も、よく使われます。

My husband didn’t really click with his new boss.

Linda and I really clicked the first time we met.

I met her at school and we just clicked.

 

 

P28 (最後のパラグラフの4行目)

…so together we left school, ambled down the hill to a pool hall on the harbour, and played four games.

 

ここに出ている”amble”は、おすすめ単語です。学校で習わなかったからなのか、英作文で『ブラブラする』も『さっそうと歩く』も”walk”を使っている方が多いです。PLではご説明していたので、重複してしまうかも知れませんが、復習を兼ねて『歩く』関連の語彙を…。

 

My son walks to school.           

交通手段としての『歩く』

 

My baby has just learned to walk.         

歩き方について述べるまでもなく、『歩くことを覚えた』

 

I marched to the office and demanded to see the officer.           

ツカツカと詰め寄る感じがしませんか?

 

They strolled along the beach.  

のんびりと散策していますね。

 

The tiger ambled through the woods.     

急がず、悠々とした感じがしますね。

 

* 翻訳者のJay Rubin氏は米国人なのに、”harbor”ではなく”harbour”と綴っていて、とても疑問に思っていたのですが、裏表紙にポンドで定価が記されているので、どうも英国向けに書かれているようですね。

 

 

…と、このような感じで、Chapter 11まで続きますので、膨大な量になってしまいました。どこから抜粋すべきか随分迷ったのですが、結局選ぶことができず、最初の1/5くらいのところにしました。長くても読んで下さる方がいらっしゃったら、ラインにてお知らせくださいませ。

 

この本の翻訳者Jay Rubin氏について興味を持たれた方は、↓こちらをどうぞ。

en.wikipedia.org

 

あとがき

どうしてもマンネリ化してしまいがちですが、単なる翻訳物ではなく、既に完結した文学作品とも言えるこのおすすめ本は、新たな語彙や表現を取り入れるチャンスです。気に入った表現をノートにメモしたり、何度も音読したりすると、しっかり記憶に固定されますよ。

 

次回予告

次なるおすすめの5冊のご紹介となります。出来る限り異なった分野を取り混ぜて、と考えてはいるのですが、どうしても偏ってしまいます…。リクエストがありましたら、是非ラインでお知らせ下さい!

 

ではまた。