次の本をお探しの方にお勧めの英語本5選B-09

Wednesday, 31st March 2021

お勧めの英語本解説02/05

  1. The Bad Dog's Diary: A Year in the Life of Blake / Martin Howard 

f:id:mamatange:20210130170425j:plain

日記形式で書かれた本の良いところは、好きな時に、好きなところを好きなだけ読めるところですよね。前の出来事の影響を受けていたりすると、戻って読み返さなくてはならない場合もありますが、ミステリー小説とは異なり、推理に影響してしまうなどいう重要性はありませんので、『なんか、ちょっと情報抜けてるかも?でも、まぁ、今のところはいいかな。』と気軽に読んでみて下さい。

 

この本は毎日欠かさず書かれていますが、『とにかく今月だけは毎日読むぞ』とか、『月曜日のところだけ読もう』とか、気づいた時に『今日の日付のところだけ読んでみるかな』(残念ながら曜日はズレてしまっていますが)という感じで、色々な読み方ができますよね。

 

普通の読み物のように、要約が出来ませんので、月に一日面白そうな箇所を選んで、ザックリ訳をつけますね。

概要

主人公のBad Dog “Blake”は、犬の躾スクールに連れて行かれます。飼い主さんは、スクールの訓練士Mollyさんに、好意を寄せます…。

 

1月1日

何度吠えても、顔を舐めても、飼い主*が起きてこない!8時に膀胱が限界に達したので、飼い主のベッドに放尿してやる。吠え続けること1時間で、やっと起きてきたと思ったら、『この年になっておねしょするとは…』などと言っていやがる。幸先の良い新年のスタートだ。

 

どうってことない散歩に行った後、暖炉の前で、古い映画を見ながら、新年の抱負について考えてみた。(これは翌日の1月2日に書かれています。)

 

* 『飼い主』と呼んではいるが、『俺を散歩に連れて行って、餌をくれる奴』と呼ぶよりは明瞭だからそう呼ぶだけであって、所有や優位性を表すものではない。間違いなく俺の方が上なのだ。

 

 

2月4日

飼い主がMollyとデートするのに異存はないって、言った俺はとんでもなく間違ってた。午後ずっと『Blake、お座り』や『Blake、待て』や『Blake、ランバダを踊れ』が続き、コーヒー屋に入っている間中、街灯柱につながれて…。(飼い主さんは、1月22日にMollyをデートに誘っています。)

 

Mollyは、俺の優位性攻撃行動を改善するために、おもちゃやベッドや、俺の持ち物を全て取り上げさせて、挙句の果てには外で寝させろなんて言っていやがる。感じのいい犬好きだと思っていたのに、とんでもないメスだった!これは辞めさせなくてはならない。

 

 

3月1日

たった10分だったが、またDottieとの素敵な朝が過ごせた。今日は初めてDottieの飼い主を見たが、髭を生やして、ぺちゃんこの帽子を被った冴えない奴だ。自分の飼い犬が友達(ここではBlakeのこと)と走り回って楽しんでいるのを見て、喜ばない飼い主はいないであろうと思いきや、『オイ、汚らしい雑種を俺の犬に近づけるな!』と叫ぶのが聞こえた。飼っている雌犬に対して、過保護になる飼い主がいることは聞いているが、俺達がどれほど良い仲なのかを知れば、俺に対して温かい気持ちになるに違いない。

 

 

4月9日

俺の計画*は功を奏しているようだ。『疲れているから』と、Mollyから電話があり、昨日のデートは中止になった。飼い主はホッとしているようだった。これは素晴らしい兆候だ。このまま続けていけば、思ったより早くMollyは過去の存在になるだろう。俺は一日中ほとんどの間、公園を総支配することを考えて、まどろんでいた。全ての犬達が、何マイルも離れたところから、俺様のオシッコの臭いを嗅ごうと、行列を作って待っている様を思い浮かべて。権力の象徴だ。

 

* Blakeのこのプランについては、前日の4月8日に書かれていますが、そもそもの始まりは、2月11日です。

 

 

5月26日,

飼い主の元を離れ、Ellaを探しに行く途中、Razor*の反撃に遭った。(一週間ほど前の5月19日に、Blakeは取り巻きの犬達と共にRazorとその一味を攻撃しています。)一分もしないうちに、俺は血を滴らせ、意識朦朧となっていた。飼い主が助けに来た時には、Razorは俺の威厳をぶち壊し、縄張りを奪って、姿を消した後だった。もうお終いだ…。

 

翌日の日記から分かりますが、Blakeは手術の後、一日入院していましたが、約二週間後の6月6日には、獣医さんからも大丈夫だと言われるほどに回復しています。療養中、BlakeはRazorに仕返しすべく、The Park Animals Resistance Party (=P.A.R.P. 6月4日参照)を結成します。

 

* Razorは2月13日に初登場する、ピットブルテリアです。ご存知の方も多いと思いますが、闘犬用に交配された、強靭で攻撃的な犬種です。(飼い主には忠誠を尽くしますが、本能的に戦う習性が備わっています。)この後、Blakeとの縄張り争いが続きます。

f:id:mamatange:20210331112111j:plain

ピットブルテリアの親子

 

6月20日

最近誰も公園でDottieを見掛けていないが、今日のオシッコから、もう子犬が産まれたことが分かる。俺はついに父親になったのだ!Ellaがお祝いを言いにやって来た。祝福に対しての礼は言ったが、子犬を生んだのがEllaだったら良かったのに、と思えてならない。

 

子犬達が公園に出られるのには、まだかなり時間が掛かるだろうが、今度飼い主達が顔を合わせることがあったら、顔を赤らめて怒鳴り合うようなことにはならないことを、願って止まない、お目出たい機会なんだから。飼い主同様、Dottieがお高くとまった愚か者だと分かった今でも。

 

生まれた子犬が何匹なのかも、名前も知らないが、そのうちの一匹くらいは、Blake Jr.と名付けられてるんじゃないだろうか。飼い主が子犬達の写真でも持ってきてくれるといいんだが、奴はそんな(気の利く)タイプでもなさそうだ。

 

 

7月10日

Razorが偏執的になって、俺達を締め出してやろうと、一味を使って俺達のエリアをマーキングしている。目立たないようにしてはいるが、Barneyによれば、他にも2~3匹P.A.R.P.に理解を示している奴らがいるらしい。Razorは、Barneyが危ない橋を渡ってくれていて、俺達がこっそり潜入しているとは、微塵も疑っていないようだが。

 

 

8月3日

昨日のP.A.R.P.の活動の成果は、喜ばしいものだ。(どんな活動なのか、気になったら昨日の分を読んでみて下さい。)Razorのグループの減員が続き12匹になっている一方、P.A.R.P.は新たに3匹が加入し、メンバー急増中だ。Chu Chuは戦力としては物足りないが、我々の協力に同意している。Barneyによれば、既に意気消沈しているRazorのグループにとって、このスケールのダメージが、さらなるメンバーの離脱を促すとのことだ。Ellaによれば、飼い主の誹謗中傷(詳しくは前日参照)で激怒したRazorが、周りの犬どもに当たり散らしているそうだ。奴らが、酷くやられていないことを願うばかりだ。P.A.R.P.が日に日に魅力的に見えてくるはずだ。

 

 

9月16日

P.A.R.P.の縄張りに入っていたことのない2匹が、入会を求めて来た。Mackintosh*の事件が引き金となったのだ。Fabienneという名のプードルと、ラブラドールとスパニエル犬のあいのこの老犬Chutneyだ。見張り番には適任だ。

 

P.A.R.P.のメンバーは全員、敵のテリトリー内では護衛付きだ。人間達の靴で運ばれたマーキングによって、我々P.A.R.P.の静かな反逆のメッセージが、街中に広まっていくであろう。

 

* Mackintosh事件の詳細は9月11日に記載されています。心臓の弱い自分には、辛い事件でした。そこでRazorはP.A.R.P.の解散と、メンバー全員の生涯服従を要求しています。

 

 

10月3日

ピットブルと我々の戦場が選ばれた。林と池に近い平地だ。Constableの飼い主が、きちんと調整された消化器官のごとく、規則的にその周辺を歩いていることは観測済みだ。その小径は、ちょっとした丘に視界が遮られているため、Razorは(攻撃に)気付くこともないはずだ。そのエリアは後に、『Razorの過失』やら『ピットブルの終焉』として知られることになるであろう。

 

 

11月8日

Scottieはやられ、P.A.R.P.の奇襲は失敗に終わった。成功を納めたRazorが、公園を支配するという知らせが、Western Park中にマーキングされた。Croxleyが小型犬にじゃれて飛び掛かったフリをして、Razorがやっつけに来ると警告していた。Scottieについてはまだ知らせがなく、忠誠を誓うのメンバー達からの新たなプランも聞かれない。今はまさに、公園の暗黒の時なのだ。

 

 

12月14日

ScottieがRazorのことで、口を濁していたことが何だったのかが、(前日、事情を聴いています)間もなく明らかになった。Razorが(あの日以来)、今日初めて姿を現したのだが、全く別人の様な立ち居振る舞いになっていた。女々しい仕草でクンクン草を嗅ぎながら、こちらに向かって来て、3フィート(約90cm)ほど離れたところで、妙な座り方をしたかと思うと、『こないだは、お前の飼い主を咬んでしまって、悪かった。』と言った。口輪と保護カラー越しで聞きづらかったが、かつて狂気じみていた頃のことを微かに示唆するように、ニヤリとした後で、『俺は今じゃいい子なんだ』と言い残して、立ち去った。

 

獣医が奴の大事な所を切除してしまっていたことに、気付かないではいられなかった。奴は臭いさえ違っていた。Scottie曰く『奴はホルモン治療してるのさ』。それは痛々しいことではあるが、俺は奴を気の毒だとは思わない。『奴はあんたに色目を使ってなかったか?気があるかも知れんぞ。』

 

ちなみに12月3日に戦いがありましたが、意外な展開となり、Blakeは飼い主と共に負傷しています。最終的にはRazorの敗北となりますが、詳細が知りたい方は12月3日のところを読んでみて下さい。

 

そして、12月29日付けで人間達に子供が出来たことが記され、31日に新たな新年の抱負が書かれて日記が終わります。どのカップルに子供が出来たのか知りたい!という方は、是非この本を読んでみて下さいね。

 

あとがき

この”The Bad Dog's Diary: A Year in the Life of Blake”は2007年出版ですが、続編”The Bad Dog's Diary: Blake’s Progress: Another Year in the Life of Blake”が2008年に出ています。お勧めです。

 

次回予告

来月末は、次のお勧め図書“The Eye of the Viking God”の解説になります。

 

ではまた来月末に。