お勧めの英語本5選B-29

Tuesday, 30th May 2023

お薦めの英語本解説04/05

  1. Sabertooths and the Ice Age
    by Mary Pope Osborne & Natalie Pope Boycek

『サーベルタイガーと氷河期』というタイトルから、自分が興味の持てる本かどうか、直ぐに判断できますね。興味がなければ、割り切って切り捨ててくださいね。残念ながら女の子にはあまり人気がありませんでしたが、太古の昔に思いを馳せるきっかけになれば、と思います。子供向けですので、専門用語も多くありませんし、あっても分かりやすく説明されていて、何と言っても固有名詞にフリガナがついているのがありがたいです。発音などは、今ではネットですぐに調べられますが…。

 

 

要約

Chapter 1

百万年ほど前、地球の温度がとても低かった頃のことを氷河期と言います。北アメリカの大部分が氷の下に埋もれていて、ヨーロッパ、アジアと南アメリカも、部分的に氷に覆われていました。氷河期は、約10,000年ほど前まで1,000年以上も続きました。恐竜達は、氷河期よりも、随分前に絶滅しています。

 

『氷河期』とは言え、1,000年間ずっとすべてが凍ったままだった訳ではなく、温かくなって氷が解ける時期もあったり、また寒くなって凍ったり…という繰り返しでした。なぜ氷河期が訪れたのか明確なことは、科学者でさえも解明できていませんが、おそらくは”Orbit”の変化によるものだと推測されています。

 

ここで、p15の欄外に挿絵とともに”orbit”という単語の説明があります。子供向けに、易しい単語で説明されているので、わざわざ辞書で調べなくても良くて、とても助かりますね!氷河がどうやってできたのか、当時の人々や動物達はどうだったのかも、合わせて説明されています。

 

 

Chapter 2

氷河期に現れた旧人類は、ネアンデルタール人(”nee-AN-dur-tallz”というフリガナ付きです)と呼ばれており、最初の化石はドイツのネアンデル谷で発見されました。(きっと、そのためにそう名付けられたんでしょうね。)約100,000年前に現れたこの旧人類は、ヨーロッパ、中東、北アフリカ、アジアの一部に住んでいて、かなり小柄で、寿命もうんと短かったようですね。

 

続いてホモサピエンスの登場です。P30-31に、頭蓋骨の写真が載っていますが、骨格がかなり違い、ぐっと現代人っぽくなっていますね。彼らは、火を使うことも学んでいます。なんと、実は、我々もホモサピエンスだったんですね!学校で習っていたはずですが、お恥ずかしながら、全く覚えていませんでした。社会の先生すみません…。

 

 

Chapter 3

氷河期の真っただ中の生活は、大変厳しく、マンモスの毛皮や骨、木の皮などで作った小屋に定住し、狩猟を中心とした生活でした。35,000~10,000年ほど前、ヨーロッパに現れたクロマニヨン人は、さらに現代人に近い容姿をしており、道具作りに大変熟練した技術を持っていました。ただ火を起こすだけでなく、煮炊きも覚えたようです。

 

 

Chapter 4

壁画というと、やっぱりラスコー洞窟の壁画でしょうか?発見されたのは、意外にもごく最近の1940年だったようですね。森の中で、迷子になった子犬を探していたフランス人の男の子達が、探しに入った深い穴で、偶然発見したんですね!授業中に、そんなエピソードを聞いていたら、居眠りなんてしてなかったかも知れないと思ったりもします。授業を楽しくするのは、容易な事ではないとは思いますが…。

 

ドイツとスペインの洞窟壁画についても、書かれています。思わずネットで他の壁画も探してしまって、見入ってしまい、またまた締め切りギリギリの危機に!!...そんな大昔に、芸術を極めようとするなんて、凄いと思いませんか?コンクールがあって賞金がもらえるわけでもなく、インスタでシェアしたり、FBでイイね!がもらえるわけでもなく、生命の維持に直接関わるような情報でもないものを、一心に描いていたなんて、感動的です。しかも、かなり精密で、美しい色彩!

Chauvet cave: Preserving prehistoric art - BBC News

www.youtube.com

 

Chapter 5

そしていよいよ、サーベルタイガーについてです。カリフォルニア州にある、La Brea Tar pitsという天然アスファルトの池の底に、サーベルタイガーを始め、誤って落ちてしまった動物達の化石が埋もれています。池の名前には『タール』という単語が使われていますが、実際にはアスファルトの池でした。アスファルトというと、道路の表面に使われている、人工的な現代の産業製品のようなイメージがありますが、そうではないのですね。地表に浮き上がって来た油が、長い年月の間に、粘度を上げて、自然に生成されるものなのだそうです。

 

発見されたサーベルタイガーの化石は、La Brea Tar pitsだけでも、およそ2,500体にものぼります。サーベルタイガーは、その名の通り、サーベルの様に鋭利な牙を持ち、体長およそ6 feet、体重は600 poundsにも及ぶ、巨大な猛獣です。1ftが30.48で1lbが0.453kgなので、約183cm、272kgですね。日本ではほとんど使われていませんし、覚えるのが面倒な方は、自分の身長や体重を換算して覚えておくと、とっさに計算はできなくても、自分と比較して、ある程度の感じがつかめますよ。

 

 

Chapter 6

この章は、マンモスを始め、その他、今までに見たこともないような氷河期の哺乳類についても書かれています。残念ながら、そのほとんどは、既に絶滅してしまったいます。

 

象同様、マンモスも体は大きいのに、草食だったのですね。サーベルタイガーなどの肉食獣に襲われると、体の大きさをフルに活かして、自分達の身を守るしかなかったようです。Wooly Rhinoという、読んで字のごとくの毛深いサイがいたり、2本脚で立つと、キリン位大きなナマケモノがいたり、Glyptodontという巨大アルマジロのような動物もいたり、現代のビーバーの7倍近い大きさのビーバーがいたりと、その頃の動物達はずいぶん大きかったようですね。

 

 

Chapter 7

約10,000年前、氷河期が終わった頃から、地球の周回軌道は太陽に近づきます。(逆なんじゃないの?近づいたから温かくなって、氷河期が終わったんじゃ?と突っ込みを入れたくなるのは、私だけでしょうか?)

 

地球が温暖化するにつれ、植物が枯れて食料不足になったり、病気が流行ったり、人間による狩猟なども重なったことで、マンモスなど、多くの動物が絶滅してしまいました。その一方で、ヘラジカ、灰色熊、野牛など、生き残ることのできた動物もいます。温かい気候により、人々の生活にも変化が表れ、狩猟型から、定住採取へと移行します。植物の栽培を覚え、集落を形成し、人口も爆発的に増加しました。氷河期の人口は、500万人にも満たないものでした。(現在の全世界の人口は、昨年末で80億人に達していると記憶しています。そのうちの大部分が、毎日、大量にプラスチックごみを出しているのですから、自殺行為としか言いようがないですよね…。)

 

祖先達はお互いに助け合い、氷河期という大変過酷な環境の中を生き延びてきました。それだけでなく、素晴らしい芸術も残してくれ、いつまでも私達に、ひらめきを与え続けてくれています。

 

次回予告

来月末は、Andy Marino著” Escape from Chernobylです。実際にあった事故をもとに書かれたフィクションですが、事件当時のことが、まるで昨日のことのように思い出されます。それほどまでに危険な原発が、人類にとって本当に必要なのでしょうか?脱原発を実行したドイツに、敬意を表します。

 

ではまた。