2022お勧めの英語本5選B-20

Monday, 28th February 

 

お勧めの英語本解説02/05

  1. Deltora Quest “The Lake of Tears” by Emily Ronda

 

この著書はシリーズ2冊目なので、初回から続いている登場人物の関係を掴んでおきましょう。第一章が始まる前に、それまでの経緯が書かれています。

 

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『これまでのお話』

 

16歳のLiefは、亡き父の意志を受け継ぎ、Shadow Lordに侵略された祖国Deltoraを救うため、かつて護衛兵だったBardaを引き連れ、不思議なパワーを持つ7つの秘石を探し出すための旅に出ます。

 

Shadow Lordに奪われ、暗黒の秘境に隠されているアメジスト、トパーズ、ダイヤモンド、ルビー、オパール、瑠璃、エメラルドのうち、LiefはThe Forests of Silenceで、トパーズを取り戻しています。そこでは、驚くほど治癒力のある『生命のユリ』も発見。その森で出会ったJasmineが、一行に加わりました。JasmineはLiefと同い年くらいで、幼い頃両親を亡くしています。

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では早速、楽しく読み進めるのに必要な個所だけ、メモ程度に要約しますね。いつものように、最初の3章くらいを重点的に解説します。

 

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メモ 

LiefとBarda、Jasmineの3人は、Lake of Tearsに向かっています。Jasmineはこの経路で進むことに猛反対でしたが、しぶしぶ2人について行きます。Jasmineの腕には、Filliという毛むくじゃらの生き物が怯えたようにしがみついていて、大型カラスKreeも、近くを飛びながら、嫌々着いて来ています。The Forests of Silenceで、あれほど勇敢に戦ったJasmineが怯えています。なぜなら、この土地はTaeganという恐るべき魔女が支配しているからです。しかも、Taeganの魔力は、Shadow Lordと手を結んだ今、10倍も強くなっているのです。

 

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Lake of Tearsへのルートについて、言い争いをしながらも進んで行くと、はるか前方に地面にパックリ空いた巨大な割れ目が見えます。そこにはつり橋があり、そのつり橋の横には、瞬き一つしない巨人が、剣を持って立ちはだかっているではありませんか!

 

  1. 3つの問題

3人は息を呑んで立ち止まりますが、巨人は3人を見ても微動だにしません。『あの男は、呪いを掛けられているよ』とJasmine。注意深く進み、巨人の前まで来ると、巨人は威嚇するように剣を振り上げます。『友よ、我々はこの橋を渡りたいんだが』とBardaが言うと、巨人は『それならば、今から出す問題に答えなくてはならない。答えが正しければ、橋を通っても良いが、間違えたら、殺さねばならない』と答えます。過去にTaeganから仲間を救おうとした際、Taeganの怒りを買ったため、真実が偽りとなり、偽りが真実となるまで、この橋の警護を命じられたと言うのです。

 

最初の問題に、Jasmineが答えることになりました。Jasmineの顔には、もう恐怖はなく、哀れみのような表情が浮かんでいます。巨人は地面を指さし、『これを1つも取り除くことなく、11から9に変えろ』と言います。そこには、ホコリまみれの11本の小枝が並んでいました。

 

しばらく考えていたJasmineは、すばやくしゃがむと、11本並んでいた小枝を並べ替えて、一本一本を一画と見立てて、”NINE”とつづります。『宜しい。お前はここを通っても良い』と言われ、Jasmineがつり橋に向かって歩き出します。LiefとBardaが後に続こうとすると、『通っても良いのは、答えた当人だけだ』と巨人。

 

次の問題はBardaに出されます。『乞食が持っているのに、金持ちが持っていなくて、死人が食べる物は何だ?』一瞬考えこんだBardaは『それは無だ』と答え、通過が許可されます。

 

次に出されたLiefへの問題は引っ掛け問題で、Liefは過ちを犯してしまいます。『お前は死ぬのだ』と、巨人は剣を振り上げます。

 

  1. 真実と偽り

『そんな問題、卑怯だぞ!』と抵抗するも、『そんなことは俺の知ったことではない』と巨人はLiefの首すれすれのところまで、剣を近づけます。

 

『お願いだ、待ってくれ!』とLiefは必死に考えます。『たとえ自分が殺されることになっても、せっかく手にしたトパーズを、みすみす取られてしまってはならない。なんとかしてBardaとJasmineに渡さなければ!! 』と考えながら、隠し持っていたトパーズの入ったベルトを外して、2人の方に投げようと、時間稼ぎのため、こう言います。『なるほどな。お前のような卑怯者は、Taeganに呪いを掛けられても仕方ないな。真実が偽りになって、偽りが真実になるまで、ずうっとこのつり橋を守らされ続けていればいいのさ。』

 

この言葉に巨人はたじろぎ、怒りに目をギラギラさせますが、『真実と偽りについて、そんなに興味があるのなら、ゲームをしてやるぞ』と言います。Liefの手は、ベルトを掴んでいます。

 

『これはおまえの死に方を決めるゲームだ。お前が言ったことが正しかったら(真実だったら)、お前の首を絞める。お前の言ったことが間違っていたら(偽りだったら)、首をはねて殺す』。ベルトを外そうにも、留め金が固くて動きません。

 

すると、とっさに名案が浮かびます。Liefは立ち上がると、きっぱりと『お前は僕の首をはねるんだ』と答えます。巨人はたじろぎます。もしもLiefの言ったことが正しい(=真実)と認めれば、巨人はLiefの首を絞めなければなりません。もしも誤り(偽り)だとすれば、巨人はLiefの首をはねることはできますが、そうすることは、Liefの答えが正しい(=真実だということになってしまうからです。

 

つまり、ここで真実と偽りがイコール関係になるということですね。真実が偽りになってしまえば、巨人はもう、つり橋を警護しなくても良くなるのですよね。そしてここで、巨人に掛けられていた呪いが解けます。

 

巨人の皮膚がどんどん溶けて崩れ落ち、中から鳥が現れます。巨人は、呪いを掛けられた鳥だったのです。自由になった鳥は、飛び去ります。

 

つり橋は今にも崩れ落ちそうになっています。我に返ったLiefは、手すりのロープにつかまりながら、全力で駆け出しますが、つり橋は後ろでガラガラと崩れ、深い谷底に落ちていきます。いつまで持ちこたえられるかは、時間の問題。ただただ全力で走る事しかできませんが、まだつり橋の半分も進んでいません…。と、足元の板が外れてしまいます!宙ぶらりん状態で、必死でロープにしがみついていますが、手はヒリヒリ焼けるように痛み、ロープも切れ始めています…。どうすることもできず、切れたロープもろとも谷底に落ち始めたその瞬間、温かくて力強い、何か大きなものが、Liefの体の下に滑り込んで来て、落下が止まります。Liefの体は上へ上へと持ち上げられ始め、力強い羽ばたきが聞こえます。たった今Liefのお陰で呪いを解かれた鳥が、Liefに借りを返したのでした。

 

このような感じで、この後も謎解き系の冒険が続きます。

 

  1. 救出
  2. 恐怖
  3. NijとDoj

 

  1. 衝撃

ここでもやはり、トパーズの持つ不思議なパワーで、Liefははっと我に返り、危機を逃れます。どんな危機に面してるのかを知りたい方は、是非この本を読んでみて下さいね!

 

ここで使われていた英語の逆さ言葉、やはりこの本の翻訳をされた方は、大変苦労されていた様子がうかがわれます。

 

  1. 驚きの事実
  2. 踏み石
  3. 機転
  4. Raladinへ
  5. 音楽

 

  1. The Lake of Tears

新たに加わったRaladinの住人Manusと共に、一行はThe Lake of Tearsに向かいます。ここで一行は、もうひとつの石が隠されていることを確信しますが、そこには恐ろしい怪物Soldeenが潜んでいます。果たして一行は、石を手に入れることができるのでしょうか?

 

秘石を手に入れられなきゃ、物語にならない!とお思いの方は、それがどんな方法だったのか、実際に読んでみてくださいね!

  1. Soldeen
  2. 魔女
  3. 自由のための戦い

 

あとがき

そのまま日本語に直訳できない箇所がいくつもあり、一時帰国の際、日本に住む甥っ子に和訳本を見せてもらいました。第二章の小枝の並べ替えも、翻訳者の方は、機転を利かせて、5本の小枝を数字の”3”にするという、素晴らしい対応をされていました。第五章の『ここに入るべからず』も、脱帽ものです。和訳物はあまり読みませんが、たまに気になるところを見ることがあると、自分にはとても文学の翻訳はできないと、いつも感心させられます。技術翻訳にはニュアンスとか、とんちは不要ですから、翻訳を目指している方には、お勧めです。

 

次回予告

来月末は、次のお勧め図書“The Woman in the Window”の解説になります。

 

ではまた来月。