お勧めの英語本5選B-30

Friday, 30th June 2023    

お薦めの英語本解説05/05

  1. Escape from Chernobyl by Andy Marino

 

1986年に、チェルノブイリで実際に起こった原発事故に基づいて書かれていますので、当時が思い出され、恐ろしさもひとしおです。(2021年出版。当時はチェルノブイリと呼ばれていましたが、今では『チョルノービリ』とすべきなのでしょうか?)あまり知られていない東欧の内部事情なども書かれていて、思わずいろいろと調べてしまいました。短めの最新の動画を選びましたので、興味を持たれた方は、こちらをご覧ください。

 

  1. A brief history of modern Ukraine - BBC News

www.youtube.com

 

  1. History of Russia in 5 Minutes - Animation

www.youtube.com

 

  1. Mystery of Chernobyl Nuclear Disaster|The Worst Disaster ever

www.youtube.com

 

要約

Chapter 1

16歳のインターンYuri は、チェルノブイリ原子力発電所で勤務するのが、子供の頃からの夢でした。そのために勉学に励み、インターンの地位を確保したYuriは現在、地元プリピャチのラジオ局に勤める叔父Pavlo のフラットに、同居させてもらっています。インターンとは言っても、実際は雑用係のようなもので、施設内部の液漏れのモップ掛けしかさせてもらえませんが、下積みを経験し、知識と経験を得て、将来頭角を現すのだと、心に誓っています。

 

 

Chapter 2

プリピャチの豊かさは、Yuriの住んでいたモスクワとは桁違い。食品のみならず、敵国であるはずの西洋の品物が、ふんだんに揃っています。叔父のフラットには、叔母のMayya、Alinaという女の子と、弟のLevがいます。愛国心の強いYuriは、仕事中は忠誠心の塊のような叔父が、自宅では西洋の習慣や食べ物を我先に取り入れ、西洋人のように振舞っていることが、我慢できません。政府の運営するラジオ局に勤めていながら、自分の子供達に西洋の音楽を聴くことを許可しているなんて!いつもはぐっと我慢して口を閉じているYuriでしたが、その日は夜勤で出勤する直前に、叔父と言い争いになってしまいました…。

 

 

Chapter 3

出勤前の、叔父との言い争いが気になって仕方ないYuriですが、タービン音の異常に気付きます。原子力発電のしくみを良く知るYuriは、不安が拭えません。なんとかしなくてはと、原子炉第4号機のコントロール室に向かいますが、爆音とともに足元を掬われ、口の中で血の味がします…。

 

 

Chapter 4

その爆音で目を覚ましたAlinaは、米国軍が空襲を始めたのか、はたまたエイリアンの襲来か、と一瞬錯覚を起こしますが、すぐに状況に気付きます。『大変、原子力発電所にはYuriがいる!』夜中過ぎだと言うのに、お父さんは電話でなにやら深刻な口調で話をしています。そして、誰かがドアをノックする音が!! こんな時間の訪問者が、良い知らせを告げに来るはずがありません…。

 

 

Chapter 5

その訪問者は、こんな時間にも関わらず、まるで勤め先からやって来たかのような、きちんとした服装をしていて、顔の筋肉がピクピク引きつっています。幾度となく会っていますが、彼の顔がそのように引きつっていたことは、今まで一度もありません。彼の名はYakiv Kushnir。ママの幼馴染で、最初の恋人です。一緒に映った写真を見たこともありますし、家族ぐるみの食事会などでも、何度も会っていますが、何故か息子のFedirも連れて来ています。『つい今しがた聞こえた爆音は実験の一環で、想定範囲内なので、心配することはない。それよりも、今から家族揃って、我々とモスクワに旅行に出掛けよう!』などというYakivの言葉を、信じる者は誰もいません。『本当のことを聞くまで、我々はここを動かないからな』というPavloの言葉に、Yakivはついに真相を明かします。『プリピャチは今夜を境に、安全な場所ではなくなってしまった。一緒に来てくれなければ、君たちは皆、ここで死んでしまうことになるであろう…。』

 

 

Chapter 6

一方Sofiyaも、爆音で目が覚めます。寝返りを打って、また眠りに就こうとしていると、夜遅く帰った父が、枕元に来ています。SofiyaはAlinaの親友で、Yuriと2度ほどデートしています。父のHedeonは、原子力発電所に勤める科学者で、母は昨年亡くなっています。帰宅して間もない父は娘に、実験の際にちょっとした誤差があったので、また出掛けなくてはならないと告げます。決して外出しないことをSofiyaに約束させ、自分が戻るのを待つように言い残して、父は出て行ってしまいました…。

 

 

Chapter 7

父の自宅待機の指示にも関わらず、真相を知りたいSofiyaが外に出てみると、通りは人々でごった返しています。口の中で、金属の様な嫌な味がします。Yuriからもらった放射線計量器で測定してみると、正常値0.3をはるかに上回る2.08を示しています。『皆さん、野外は危険です。屋内に戻ってください!』そう叫びながら、SofiyaはAlinaを探しに向かうのでした。

 

 

Chapter 8

モスクワに移動中の車の中で、AlinaはSofiyaのことを考えています。初めて会った時の事、親しくなって、あらためてお互いが全くと言っていいほど、正反対であることに気付かされたこと等々を思い出していると、暗い車道をSofiyaが歩いているではありませんか!『停めて下さい!すぐそこの道を友達が歩いているの!』ところが、Yakivは車を停めるどころか、加速して『なにがあろうとも、もう後戻りはできないんだ』と言います。一体Sofiyaはどうなってしまうのでしょう?

 

 

Chapter 9

ほどなくして、SofiyaはAlinaのフラットに着きます。いつものように入り口から入って、52号室のドアの前に立ち、チャイムを鳴らしますが、いくら待っても返事はありません。恐る恐るドアノブを回してみると、鍵は掛かっていません!中に入ってみると、一家揃って慌てて荷造りして、出て行ってしまったことは明白です。一体何が起こっているのでしょうか?

 

 

Chapter 10

その頃、原子力発電所の事務所では、上司のLeonid Orlovに召喚されたAlinaの父Hedeonが、国家保安委員会の職員の同席のもと、状況説明を要請されます。

 

 

Chapter 11

Hedeonがいくら説明しても、Orlovは第4号炉が爆破してしまったことを、信じようとしません。それどころか、自分の体裁だけを気に掛け、上司への報告の印象を良くするための努力をせよと申しつけます。目に見えないからという単純な理由で、放射能の恐ろしさを全く理解せず、Hedeonが市民を非難させるよう懇願するも、『プリピャチから、誰一人、一歩も外に出すな!』と命令するのでした。

 

 

Chapter 12

原子力発電所では、少しでも状況を改善すべく、Yuriが悪戦苦闘しています。するとそこに、焼けただれた皮膚がぶら下がった半死状態の人間が、フラフラとした足取りで現れ、Yuriに近づいて来ます。恐ろしさのあまり、叫びながら後ずさりするYuriの脳裏に、焼け落ちてしまって、皮膚が殆ど残っていない顔から、眼球がぶら下がった恐ろしい顔が、永遠に焼き付けられてしまいます…。

 

次に現れたのは、Yuriが常々敬意を抱いていた原子力発電所職員のLeonid ToptunovとYuri Gagarinです。Yuriは2人に加わって、タービンの冷却作業を始めます。そもそも手動操作仕様ではないものを、放射能と爆発の衝撃で弱った体で何とかしようとするなど、全くの自爆任務です。

 

 

Chapter 13

明け方になると、Alina達を乗せたヴァンは、さびれた家屋の前で停まります。ここで一休みするんだと言われても、何故昼夜が逆なのでしょうか?Yakiv曰く、『渋滞を避けるため』ですが、Alinaはそれを素直に信じるほど、子供ではありません。寝室に連れられて行き、『Sofiyaはどうなるの?Yuriは大丈夫なの?』と問いかけるAlinaに、Yakivは『子供達は、ここで寝なさい』!LevとFedir が寝入ったことを確かめると、Alinaは大人たちのいる部屋に向かい、ドアの隙間で聞き耳を立てます。そこで驚愕の事実を知ったAlinaは、SofiyaとYuriを助けるべく、プリピャチに戻る決意をします。

 

 

Chapter 14

翌朝。Sofiyaは父からの電話で、街を出るよう指示を受けます。『屋外は危険なので、屋内でバスを待ち、待っている間に荷造りをすること』に始まり、『外気にさらされた食べ物は全て捨て、窓を全て閉めて、家中を隈なく掃除すること…』と、手短な指示を伝えると、父からの電話は切れてしまいます。母が亡くなって以来、Sofiyaはこれほど孤独に感じたことはありません。

 

それでもやるべきことをやろうと決意したSofiyaは、父が持ち帰って来ていた白衣と保護マスクを着け、インターンの様ないで立ちで、一軒一軒近所を回り始めます。『屋外は危険です。窓を全て閉めて、屋内に待機して下さい。家中を隈なく掃除し、外気にさらされた食べ物は全て捨てて下さい』。

 

 

Chapter 15

事務所にて。緊急会議まであと一時間、コーヒーを飲みながら、Orlovは会議の内容を予測しています。原子炉第4号機爆破という予測不能な状況にも関わらず、会議に出席したメンバーはお決まりの手順を踏んで、会議は予測通りに進行し、責任者はしかるべく処分を受け、新たな担当者が任命され、市民には事態に異常がないことが通告されるのです。『プリピャチは完全に閉鎖致しました。長距離用電話線も切断済みです』若い職員が入って来て、Orlovに報告します。結局の所、体裁が全てなのだ。

 

 

Chapter 16

激しい嘔吐と眩暈に、気絶しそうになりながらも、病院には空きがないことを知ったYuriは、自宅に送還されるよりも、原子力発電所に留まる決断をします。すると、どこかで聞いたことのある声の誰かが、何かを懇願している声が聞こえます。Yuriは自ら助けを買って出て、職員Vasilyの友人Sergei Federovを救うべく、指図に従って、爆破されてガレキの山と化した建物の中を進みます。しばらく進むと、細い通路の奥から、低いうめき声に続き、『助けてくれ、抜けられないんだ…。』という声がします!

 

 

要約のはずなのに、またまた長くなってしまいました…。Alina達は国家保安委員会に捕まってしまうのでしょうか?YuriとSofiya、Sofiyaのお父さんは、無事なのでしょうか?続きが気になる方は、是非本書を手に取って確認して下さいね!

 

お知らせ

本来でしたら、来月末に次の図書を5冊をお勧めさせて頂くところなのですが、少し前から目を悪くしてしまいまして、パソコン作業が大変困難になってしまいました。紙の本の読書であれば、度の強い老眼鏡でできるのですが、色々と調節してみても、パソコン画面が眩し過ぎて、入力作業が続けられません。白内障の手術もまだ時期尚早という事で、この先5年間復活の見込みが立ちませんので、大変残念ですが、今回でBlogを終了させて頂くことに致しました。来年の6月まで、最低5年間は続ける予定だったのですが、肉体の衰えは気力ではどうにもなりませんね…。

 

長い間、お付き合い頂きまして、ありがとうございました。GEOS卒業生の皆様でしたら、以前と同様のリラックスした読書会スタイルで、ZoomまたはGoogle Meetにて読書をご一緒させて頂くこともできますので、ラインにてお気軽にご連絡下さいませ。IDはmakylee(ウインク猫)です。

 

ありがとうございました。