お勧めの英語本5選B-23
Tuesday,31st May 2022
お勧めの英語本解説04/05
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Call for the Dead by John Le Carré
ミステリー小説というと(正確にはスパイ小説ですが)、どうしても女流作家ばかりに目が行ってしまって、聞いたことのない男性作家の本を、敢えて手に取ることはありませんでした。読んでみて、本当に良かった!この先も読みたい!と思える一冊です。
繰り返しになりますが、知らない単語や分かり辛い表現は、一旦切り捨ててしまっても、ストーリー展開が分かれば大丈夫です。何冊も読んでいるうちに、だんだん知らない単語が少なくなってきますよ。
では早速、メモを取っていきましょう。最初は丁寧に読み進め、人物関係をしっかり把握しましょう。社会的な背景も、分かり辛ければ切り捨ててしまっても、大丈夫です。各章のタイトルおよびメモの内容は、翻訳ではありませんので、ご了承くださいませ。
メモ
Chapter 1 George Smileyについて
英国秘密情報部員Smileyの美貌の妻Ann Sercombは、結婚して2年足らずで、別の男性と駆け落ちしてしまいます。Viscount Sawley, Jebedee, Steed-Aspreyなどの人物も登場しますが、ストーリー展開にはほとんど影響ありませんので、軽く流しても大丈夫。
Chapter 2 未解決
外交官のSamuel Arthur Fennanは、登場とほぼ同時に死んでしまっています。内部告発の疑惑を晴らすために、Smileyが尋問した直後のことです。Mastonによれば自殺だそうですが、Smileyは疑問視。P11に登場するSparrow氏はたまに出て来る程度ですが、情報部員Peter Guillam氏は後ほど大活躍します。MastonはSmileyに、直ちにFennan宅を訪れ、Fennanの妻を尋問するよう指示を出します。
Chapter 3 Elsa Fennanについて
Fennanの妻Elsa Fennanは、ドイツ出身の目つきの険しい瘦せた女性で、夫よりも年上だと見受けられます。(Jamie Lee Curtisのような感じかな…?)大変なショックのためか、涙さえ見せず、消耗しきっている様子。簡単な聞き込み調査は終了しますが、夫が殺された夜、一人で劇場に行っていたというElsaから聞かされたFennanの様子は、Smileyと知るFennanの様子とは、かけ離れたものでした。そして、帰途に着こうとしたSmileyが、上司からの連絡だと思い込んで出た電話は、Fennan自身が依頼したと思われるモーニングコールでした…。怪し過ぎますね!
Chapter 4 噴水カフェでコーヒーを
イタチのような顔をしたMendel警部補登場。Smileyはすぐに、彼に好感を抱いたようですね。しばらくしてから、一緒に非公式な捜査を進めることになります。Smileyは、噴水カフェでMendelとコーヒーを飲みながら、話をすすめます。再びElsaを訪ねたSmileyが、モーニングコールのことを尋ねると、Elsaは自分が依頼したものだと嘘をつきます。何としてでも夫が自殺したことにしたい様子、非常に怪しいですね!
Chapter 5 Mastonとのやりとりなど
Elsaへの2度目の聞き込みを終え、Mendelをロンドン警視庁に車で送り、オフィスに戻ったSmiley。Mastonに異論を申し立てるも、Smileyの不手際のためにFennanが自殺したとして、聞く耳を持ちません。とりつく島もないやり取りの結果、Smileyは完全に意欲を喪失。デスク整理をしていると、トレーにFennanからの手紙が。『伝えたいことがある。明日の昼休みに会いたい』という内容のもので、手紙の日付は一日前です。Maston宛てに辞表を書き、Fennanからのその手紙をホチキスで辞表に止め、Smileyはオフィスを後にします。
疲れ切ったSmileyは、クリーニング店から洗濯済みの衣類を受け取り、自宅に向かいます。ところが、自宅に着いてドアを開けようとすると、家の中で人の気配が。とっさに、手にしていた家の鍵をポケットに隠し、ドアベルを鳴らします。驚いたことに、会ったこともない若者がドアの隙間から顔を出すではありませんか。『Smileyさんは在宅ですか?』と尋ねると、『はい、おります。どうぞお入り下さい』とドアを全開にします。一瞬ためらった後、『それには及びません。すみませんが、これを渡して頂けますか』と、手にしていたクリーニングの袋をその若者に渡して、自宅を後にしました。怖いですね!
車を出しながら、近くに停まっていた何台かの車のナンバーを控え、この先どうすべきかを考えるSmiley。Mendelに連絡を取ろうと、最寄りの電話ボックスでロンドン警視庁に電話したSmileyは、Mendelが既に辞めてしまったと聞かされます。一体この先どうなってしまうのでしょうか?
Chapter 6 紅茶と思いやり
苦労して聞き出した住所を頼りに、SmileyがMitchamのMendel家を訪れると、Mendelは庭の手入れをしています。部屋が温まっていないので、紅茶を用意すると言いながら、MendelはSmileyを温かく迎え入れます。紅茶を飲みながら事の次第を話すSmileyに、危険を察知したMendelは、しばらく泊まるようSmileyに勧めてくれます。
話を進めるうち、Smiley宅の近くに停めてあった車の所有者であるAdam Scarrを訪ねることに。2人でBattersea Bridge RoadのScarrの車庫に向かい、MendelがScarrを尋問する間、Smileyは近辺を捜索。暗い通りを渡って、少し先に停めてあった車のナンバープレートを確認すると、あろうことか、それは、Smileyの家の近くに停めてあったものでした。と、背後で足音が聞こえ、振り返ろうとしたSmileyに、何者かが鈍器で殴りつけました。
Chapter 7 Scarrについて
血を流して倒れているSmileyを、救急車で病院に送ると、MendelはScarrのところに戻り、さらに厳しい尋問を開始します。犯人と思われる人物像、その人物とどのようなやり取りがあったのか、その連絡方法や、支払い方法など、詳細を聞き出しました。
Chapter 8 病院のベッドで
Mendelが面会を許されたのは、Smileyが意識を取り戻して3週間後のことでした。捜査内容を手短に伝えてくれたMendelに、SmileyはGuillamを連れて来るよう依頼します。打撲傷でズキズキと痛む頭で、Smileyはノートを作成し、時系列に起こったことや、数々の疑問を書きつけていきます。誰にとって、そして何故、FennanがSmileyと接触することが、それ程にまで危険だったのか?何故Fennanの妻は、嘘をついたのか?
Chapter 9 情報整理
MendelがGuillamとともに、Smileyを見舞います。Fennanの遺書とSmileyへの手紙が、同じタイプライターで打たれていたことが判明したと、Guillamからの最新情報がありますが、それでもまだ、この事件には、意味をなさないことが多すぎます。2人が帰り、ウトウトと眠りに就きそうになったSmileyの耳に、廊下での喧騒が耳に入ります。急にドアを開けて入ってきたMendelがSmileyに告げた知らせは、Scarrの死でした。
Chapter 10 別人からの情報
供述の信ぴょう性が全くないこの事件で、本当に何が起こったのかを突き止めるため、MendelはElsaの行っていた劇場を訪れます。そこで聞かされたのは、会員制のその劇場には、Elsaは毎週火曜日の夜、一人で出掛け、夫だと思われる外国人の男性と落ち合い、離れた席に座っていたこと、Elsaもその男性も、上演中に預けておいたオルゴールを、上演後に持ち帰っていた、などなどです。Fennanが殺害された夜は、Elsaがオルゴールを忘れて帰宅したため、翌日その男性が取りに来たとも。
Chapter 11 Smileyの過去
MendelがSmileyを見舞うと、そこにはGuillamがいます。Mendelが2人に聞き込みした内容を伝えると、Smileyは翌日の朝退院する予定だと告げます。退院したSmileyから2人に伝えられた内容は、主にSmiley自身の経歴ですが、ここで登場するDieter Freyは最重要人物です。
またまた文字数が超過してしまいましたので、この先はさらに短く、ザックリ粗く進めますね。
Chapter 12 Elsaの供述
三度訪れたSmileyにElsaが供述したのは、5年前にFreyと接触があったこと、Fennanがスパイであったこと、自分が中継役であったことなどでした。Freyは当時、Freitagという偽名を使っていたようです。
Chapter 13 Fennanに対する疑問
スパイであるはずのFennanについて、調べれば調べるほど、およそスパイらしからぬ事実ばかりが浮かび上がります。この章ではMarlowやMundtが再登場します。気になる方はChapter 5から13くらいまでを、もう一度パラパラと見てみて下さい。気にならなければ勿論、確認不要です。
Chapter 14 ドレスデンのグループ
Freyを中心とするドレスデンを拠点とするグループについてです。今まさに国外逃亡しようとしているMundtは、Smileyを殺そうとした人物のようですね。
久し振りに自宅に戻ったSmileyが、溜まった郵便物を整理していると、Mastonからの謝罪の手紙と、別れた妻からの誘いの手紙が届いていました。
Chapter 15 最終シーン
ElsaとFreyをおびき出しておいた劇場で、MendelとGuillamが張り込みをしています。このように人目の多い場所で、一体何が起こり得るのかと思いきや、FreyがElsaを殺害して逃亡。Freyの追跡をMendelに任せ、GuillamはSmileyに連絡を取るため、公衆電話へ。
Chapter 16 霧の中で
Guillamに合流したSmileyは、Scarrの遺体が見つかった、テムズ川の橋げたに向かいます。SmileyとFreyが再会して…。ここで実際に何があったのか、詳しく知りたい方は、是非本書をお読みください。
Chapter 17 Mastonへの手紙
SmileyからMastonに宛てた手紙で始まるこの章では、事件の解析が記されています。生き証人のいない現在、これを立証することは不可能ですが。
Chapter 18 チューリッヒへ
MendelとGuillamと食事を共にしながら、事件について話し合ったSmileyは、飛行機で元妻の待つチューリッヒに向かいます。2人はこの先、どうなるのでしょうか?
あとがき
この小説の初版が出版されたのは1961年です。誰もが携帯電話を使い、いつでもどこでも連絡が取れるのが当たり前の今、この小説を読むと、当時の連絡方法が、いかに不便だったかが思い出されます。バーの公衆電話で、バーテンダーさん経由で連絡を取るなんて、考えられませんよね!
パソコン画面上で読むよりも本の方が目にも優しいですし、個人的に読み物は印刷されたものを読むのが好きですが、今すぐに読みたい!という方はこちらをどうぞ。↓
Free Download
https://archive.org/details/call-for-the-dead
今回の投稿のために調べていて、Jamie Lee Curtisさんが本を書かれていることを、初めて知りました。子供向けの絵本が、とても楽しそうです!
Thriftbooks
https://www.thriftbooks.com/a/jamie-lee-curtis/196977/
次回予告
来月末のお勧め図書は、”Tomorrow Will Be a Good Day” (Tom Moore)になります。
ではまた。