2022お勧めの英語本5選B-21

Monday, 30th March 

お勧めの英語本解説03/05

  1. The Woman in the Window by A.J. Finn

『窓の中の女』というタイトルを見ただけでは、直ぐに見当がつかないと思いますが、広場恐怖症の女性の話です。Chapter 6 (p29)に、”agoraphobic”(”agoraphobia”の形容詞)という、そのものズバリの単語が出てきますが、たとえ辞書で意味を調べなくても、文脈から推測できますよ。辞書を引く時間が勿体ないので、想像力を働かせて、先ずはストーリーを楽しんで下さい。

 

では早速、いつものように、スムーズに読み進めるためのメモを取っていきます。この本に関しては、最初から念入りに読むよりも、人物関係や出来事を、おおまかに追う感じで良いと思います。後半、事件が起こってくると、かなり詳細な部分が後々関係してきます。

 

メモ

Chapter 1

主人公が”Rita”と名付けた女性とその私生活を、主人公が盗み撮りするシーンから始まります。Miller一家は、最近越してきたばかり。インターネットで調べてみると、Ritaの夫のJohn Miller氏は心理療法士のようです。

 

Chapter 2

主人公の家族について。夫はEd、娘はOlivia、飼い猫はPunchですね。そして、主人公はAnnaだと分かります。Annaが家族と電話で話していますが、別居中?

 

Chapter 3

家を売る話が出ていたのですが、実現する前に、夫と娘が家を出てしまっています。何があったのでしょう?

 

Chapter 4

家が大きいうえ、空き部屋が多いためか、間貸しを始めたとのこと。Davidという住人が、Annaの家にかれこれ2ヶ月ほど住んでいるようです。

 

Chapter 5

ご近所さんのRussell家、Wasserman家、Grayer家、Takeda家について書かれています。Russell一家は最近越してきたばかりですが、それ以外の家族は古くから住んでいます。

 

Chapter 6

Annaは精神分析医であると同時に、自身も患者でもあるということが分かります。患者とのオンラインのやり取りや、服用している薬の副作用等が続き、夫のEdとのなれそめが書かれていますね。2人とも映画オタクだったのですね。p32にありますが、Annaは一年近くも、外に出ていないようです。

 

Chapter 8

10月30日。母親から、引っ越し祝いのキャンドルを渡すように言われた、とRussell家の子供が初めてAnnaを訪れます。Ethanという16歳のシャイな男の子です。家に招き入れ話をするうち、リラックスしてきたAnnaは、なぜかビジネスパートナーのWesley Brillのことを思い出します。Ethanは、Annaの古い映画のDVDを借りて行きます。

 

Chapter 11

10月31日、ハロウィーンです。子供のイタズラで、Annaの家に生卵が投げつけられます。怒りのあまり、『止めなさい!』と叫びながら、ドアを開けて外に出た瞬間、広場恐怖症のパニックに襲われ、Annaは倒れてしまいます。すると、突然誰かに肩を抱えられて、支えられます。

 

Chapter 12

助けてくれたその女性は、隣家に行く途中、卵を投げている子供達を𠮟りつけていて、Annaを見掛けたと言います。2人で家に戻ると、キッチンでブランデーを用意してくれます。『あなた、お向かいの方?Jane Russellさんですか?』とAnnaに聞かれると、女性は『何故分かったの?』と答えます。Ethanの幼い頃の写真をロケットに入れていました。『さっきそこで、すごく素敵な人を見掛けたんだけど、ご主人なの?』とDavidのことをAnnaに尋ねるのでした。

 

Chapter 13

Annaは同僚から、広場恐怖症になってしまった70歳のGrannyLizzyという女性を紹介されます。オンラインで、カウンセリング開始です。なんとAnnaは、知り合ったばかりの身元の知れないその女性に、自分の名前を伝えてしまいます。(後々、これが問題になってしまいそうな予感がします…。この日は11月1日。)

 

Chapter 14

天井のカビのことやら、荒れ果てた屋外の庭など、Annaの家についての描写があります。間借り人のDavidに、いろいろと助けてもらっているようです。(雑用を条件に、テナント料を安く設定したという説明が後で出てきます。)

 

Chapter 16

Annaの主治医、Dr. Fieldingとのカウンセリングの模様。Annaは、家族旅行を計画したことを、とても後悔しています。『それがなければ、まだ今でも一緒にいられたかも知れない』の言葉に、『そうかも知れない』とDr. Fielding。(えっ!?そうなの??家族旅行のあるなしで、それほどにも結果に違いが出ていたの?破綻の理由は知らないけれど、旅行以前から、別居するつもりだったのでは??)

 

Chapter 17

Annaがいつものように、窓から近所を覗き見をしていると、先日会ったばかりのJaneと目が合ってしまいます!覗き見が見つかったのは初めてで、動揺してカメラを落としてしまいます。

 

Chapter 18

間髪を入れずに、Janeが訪ねて来ます。怒っているかと思いきや、『退屈してるんでしょ?いい物持って来たわよ』と、よく冷えたリースリングワインを差し出しながら、キッチンへ向かいます。仕事の事、家族の事、趣味などで話が弾み、2人で沢山飲んで、チェスもします。偶然にも、誕生日が同じだということも分かりました。絵の得意なJaneはAnnaの顔をスケッチしてくれました。11月2日のことでした。

 

Chapter 19

夕刻、ワインでかなり酔っ払っていると、Ethanの父親Alistair Russellからの訪問があります。『今日ここに誰か来ませんでしたか?』と聞かれますが、JaneからAlistairが難しい人だと聞いていたAnnaは『今日はずっと一人だった』と嘘をつきます。帰り際に『奥さんにキャンドルのお礼を伝えて下さい』と言うと、Alistairはそれがいつだったかを知りたがります。不審に思いながらも『確か土曜日だった(10月30日)』とAnnaが答えると、一瞬口をあんぐり開けていましたが、満足気でした。(これは後々、何かがあった時に、重要ポイントになりそう!)

 

Chapter 21

家族との会話中、会えないことが寂しくて、Annaは泣き崩れてしまいます。するとキッチンの方から物音が!!警察を呼ぼうとして、携帯電話に手を伸ばしますが…。(11月3日)

 

Chapter 22

それはDavidでした。隣家のAlistairから仕事の依頼があって、工具が必要になったとので、上がってきた言います。Davidは、近所の家屋修理などの仕事も請け負っているのです。(Davidは地下室を借りています。)

 

Chapter 23

ヨガのインストラクターBinaがやって来ます。ヨガのレッスンの後で、一緒にランチを食べるのが習慣のようです。

 

Chapter 24

GrannyLizzyとカウンセリングし、成果があったことに満足したAnnaですが、なんと夕方、Russell家から、叫び声が聞こえます!2度も聞こえたので、幻聴ではありません。急いで電話を掛けるとEthanが出ます。『何かあったの?大丈夫?私に何かできることある?』との問いに、声は震えていますが、大丈夫だと言います。Russell家に、仕事で行っているはずのDavidに連絡を取ろうとしますが、繋がりません。もどかしくなって、再度Russell家に電話をすると、今度はAlistairが出ますが、『家には自分と息子と二人きりだし、誰も叫んでなどいませんよ。』と、朗らかな答えが。『今取り込んでいるので、失礼します』と言われ、電話を切られてしまいます。間もなく、Russell家から、怯えた様子のJaneが出て来て、西の方角に向かって歩いて行きました。

 

Chapter 27

Davidが帰宅すると、Annaは叫び声について訊ねますが、音楽を聴いていたDavidは何も聞いていなくて、Janeにも会っていないと言います。その後間もなく、Ethanがやって来ます。『ここに長くはいられないけれど、パパがとても怒っていて怒鳴り散らすので、家に居られなかった』と言います。『何かあったら、いつでも連絡しなさい』と、Annaは自分の形態電話の番号をEthanに渡します。

 

Chapter 29

あろうことか、AnnaはGrannyLizzyに、自分の私生活について書き始めてしまいます。

 

Chapter 30

10日前に別居を決めたEdとAnnaは、Oliviaを連れて、家族旅行に出掛けます。車で出かけて、ホテルについてから、気まずいやりとりがしばらく続いた後、決心した二人は、Oliviaに別居のことを告げに行きます。

 

Chapter 31

そこまで書いても、なんの反応もありません。どこまで知れば気が済むのか…と思っていると、なんとGrannyLizzyはチャットを退室していました。

 

Chapter 32

いつものように窓から近所を伺っていると、なんとJaneが刺されているところを目撃してしまいます!短剣のようなものが胸部にささっており、そこからどんどん血がにじみ出てきます。一旦倒れたものの、窓枠にしがみついて、起き上がろうとしています。『なんとかして助けなくては!』と救急サービスに連絡します。まだるっこしい対応にしびれを切らして、『向かいの家で、人が刺されるところを見た』と、伝えるべき事だけ伝えると、勇気を振り絞って、Russell家に向かいます。

 

Chapter 33-34

苦労してRussell家に向かうAnnaの様子が書かれています。

 

Chapter 35

家族旅行の回想です。両親からの話にショックを受けたOliviaは、泣きながら、家に帰りたいと言い出します。

 

Chapter 36

Annaが目を覚ますと、そこは病院でした。(11月5日)Littleという刑事に、尋問されます。Annaは、ろくに服も着ないで、傘だけを持って、公園で倒れていたところを救出されたと告げられました。Janeの安否を尋ねても、明確な返事はありませんが、事情聴取のため、Little刑事に、車で自宅まで送ってもらうことに。(ということは、Janeは助からなかったのですね…。)

 

Chapter 39

帰宅後のやりとりですが、なんたか雲行きが怪しくなってきます。Annaがテーブルの上を片付けようとすると、まるでAnnaが疑われているかのように、調査班が到着するまで、全てそのままの状態で残しておくようにとLittle刑事に言われます。

 

Chapter 40

隣家のAlistairを連れ、女性刑事Norelliが現れます。事情聴取が始まりますが、Alistairは、何も起こっていないと主張します。Norelli刑事は、孤独でアルコール依存症のAnnaが、関心を集めたいために、事件をでっち上げたと考えています。本当にJaneが無事なら、ここに連れてきてもらいたいというAnnaの主張を、Alistairは承諾します。ところが、現れたのは会ったこともない女性でした。

 

Chapter 41

『みんな揃って嘘をついている、この女性はJane Russellではない。Ethan、この人はあなたのお母さんじゃないんでしょ?そう言いなさいよ』とAnnaは言いますが、『おばさんは、僕の母に会ったことはないはずだ』と言われてしまいます。Russell一家は引き上げ、Norelli刑事には『虚偽報告は犯罪に当たることをお忘れなく』とまで言われてしまいます。最後に残ったLittle刑事は、心配げに『何かあったら、いつでも連絡してきて構いませんよ』と、名刺を渡してくれ、『お大事に』という言葉を残し、立ち去ります。

 

Chapter 43

このことを、どうしても誰かに話さなくては…とAnnaが選んだ相手は、Dr. Fieldingではなく、ヨガのインストラクターBinaでした。

 

Chapter 44

Binaが来てくれるやいなや、一部始終を話します。疑わしい事実関係はあれど、最後まで話を聞いたBinaは、Janeが本当に実在していることを証明すべきだと提言します。2人はインターネットで、調査を開始。Alistairはすぐに見つかりましたが、Janeどころか、Ethanさえも見つかりません。今時は、だれでもFBを持っているというのに、まるで2人ともこの世に存在していないかのようです。すると、『もしも殺人事件が本当に起こっていたとしたら、あなたは目撃者になるのでは?』と言われ、Annaは急に恐怖心を抱きます。頼み込んで、Binaに一晩泊まってもらう事にしました。

 

Chapter 46

Binaが帰った後、Annaは早速Edに連絡すると、Dr. Fieldingに相談すべきだと言われます。

 

Chapter 48

窓から外を見ていると、突然Edの書斎の電話が鳴ります。Russell家の応接間で、偽りのJaneが電話を掛けているではありませんか!どうしてこの電話番号がわかったのだろう?と思いつつも、睨みつけると、目と目が合います。留守番電話の録音機能に、偽りのJaneが残しているメッセージが聞こえます。『私が誰だか分かるでしょう?私達の写真を取るのを止めなければ、警察に通報するわよ』と。

 

Chapter 49

気掛かりなことがあって、AnnaはDavidの部屋に向かいます。ノックしても返事はありません。『ここは私の家なんだから』と、開けて中に入っていると、Davidが戻ってきて、鉢合わせになってしまいます。

 

Chapter 50

いつになく語気粗く、Davidに問い詰められ、Annaは平謝りです。

 

Chapter 52

GrannyLizzyとのやり取りが始まります。インターネットが使えなくなって、急にチャットを退室したことをAnnaに詫びると、子供達が遊びに来てくれると報告します。Annaはこの次は、今まで話していなかったことを、GrannyLizzyに話さなければならないと考えます。

 

Chapter 53

家族旅行の回想に戻ります。その他の思い出も、ごちゃごちゃと入ってきますが、ホテルをキャンセルして、大雪の中、Annaの運転で帰宅する途中、携帯電話が鳴ります。2人とも我先に電話を取ろうとして、道を外れてしまいます!

 

Chapter 54

再び現在のAnnaの家に戻ります。誰かがドアをノックします。『さっきのことを謝りたくて…』とDavidが入って来ます。『ビールってある?』と尋ねられますが、『ワインしかないけど』とAnna。少し飲んで、リラックスするとDavidから、14か月刑務所に入っていたことがあると聞かされました。酒の席での暴行だったそうです。以来、ちょっと過敏に反応してしまうことがあると…。それまで隠していたことを詫び、出て行けと言われたら出るつもりだったとも聞かされますが、Annaは滞在を許可します。以前から気になっていた天井のカビを見に行き、DavidにもJaneの事件のことを話すべきかどうか考えていると、なんとDavidはAnnaにキスしてきました。

 

Chapter 55

そしてDavidとAnnaは結ばれてしまいました。(え?これって、事件に関係あるの?と思うような、意外な展開でした。)

 

Chapter 58

AnnaはDavidの部屋にあったイヤリングが、カッター以上に、とても気になります。Janeが付けていた物と同じなのです。

 

このあたりから、ドンドンおもしろくなってきます。果たしてJaneは実在の人物だったのか?彼女は本当に殺されてしまったのか?誰が、どうして彼女を殺したのか?色々なことが頭の中をグルグル回ります。展開が知りたい方は、是非読んでみて下さい!ミステリーがお好きな方は、ドキドキすること請け合いです!最後の方は、ホラー小説とは違った意味で、怖かったりもしました。全部で100 chapterありますが、あっという間に読み終えてしまうと思います。Happy endingです。(そうじゃなければ、おすすめしません。)

 

あとがき

久しぶりに、刺激的なストーリー展開のミステリー小説に出会えました。ついつい古いものにさかのぼってしまいがちだったのですが、久し振りに現代ミステリーに戻って来ることができました。本屋の店員さんに感謝です!

 

次回予告

来月末は、次のお勧め図書“The King of the Cats - Salem's tails”の解説になります。

 

ではまた来月。