初めての方にお勧めの英語本5選の解説 B-02

Sunday, 30th August 2020   

お勧めの英語本解説01/05

  1. “The Magic Finger” by Roald Dahl

Magic Fingerを持つ8歳の女の子のお話です。どうやってMagic fingerを使うのか、彼女自身もよく分からないのですが、物凄く頭に来ると、体中がカーっと熱くなって、右手の人差し指がブルブル震え出し、閃光の様なものが出て、それが当たった人に異変が起きるのです。

 

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あらすじ

隣に住むGregg一家には、同い年の男の子Phillipと3つ上のWilliamがいて、主人公の女の子も時々遊びに行きます。Gregg一家は狩りが趣味で、毎週土曜の朝、狩りに出掛けます。(ママは留守番。)楽しみのために動物を殺すなんて許せません。しかし、何度止めさせようと説得しても、笑われるか無視されるかです。

 

数か月前のこと。Winter先生に『猫の綴りを言いなさい』と言われた主人公は、間違えて”kat”と言います。『なんて愚かな子!隅に行って立っていなさい。』と言われ、カッとなって思わずMagic Fingerを使ってしまいます。すると、見る見るうちにWinter先生に、黒々とした長いヒゲと、フサフサのしっぽが生えてしまったのです…。

 

そしてまた、事件が起こります。Greggさんと二人の子供達が、仕留めたシカを運んでいるのを見た主人公は、あまりの怒りに怒鳴り始めます。Greggさんに『家に帰っておとなしくしていなさい』と言われると、かッとなってMagic fingerを使ってしまいます。その場にいなかったGregg家のママにまで、魔法を掛けてしまいました。

 

一体Gregg一家に何が起こったのでしょうか…?

 

その日の狩りで、16羽ものカモを仕留めたGreggさんと、二人の子供達のところに、4羽のカモが低空飛行で近づいてきました。不思議なことに、何発撃っても外れてしまいます。帰宅途中も、ずっと着いてきて、やはり何度撃っても当たりません。家に帰って暗くなってからも、Gregg家の周りをグルグルと飛んでいます。

 

翌朝。目覚めたGreggさんとGregg夫人は、鏡に映った自分達の姿を見て、驚愕します。体が椅子の背もたれほどに小さくなってしまっていて、手の代わりにカモの羽が生えているのです!いうまでもなく、子供達にも同じことが起こっていました。鳥のように飛んで、窓から出て行ってしまった子供達を追って、Gregg夫妻も飛び立ちます。『すごいわ!鳥になったらどんな気持ちになるか、ずっと知りたかったの!』などと、最初のうちは楽し気だったGregg一家ですが、家に戻ってみると…。なんと庭には、羽ではなく人間の手が生えた、4羽の巨大なカモがいて、Gregg家に向かって行進しています。『あっちへ行け!それは私達の家だぞ!止まれ!』と叫ぶも、カモ達は家に入って、ドアを閉めてしまいました。

 

カモに家を乗っ取られてしまったGregg一家は、巣を作ることにします。高い木の上部に巣を作る場所を選び、みんなで口を使って小枝を集めます。集めた小枝は、Greggさんが積み重ね、巣の内側に、木の葉や羽などの柔らかいものを敷きつめます。やっとのことで巣が完成し、大満足のGregg一家。『今すぐにでも卵を産めちゃいそうよ』と、Gregg夫人。ホッとしたのもつかの間、お腹がすいてきます。『一日中、何も食べてない!』『家に戻ろう。カモ達が見ていない隙に、窓から入って、ビスケットの缶を取って来るんだ。』

 

ところが家に戻ってみると、窓は全て閉まっていて、どこからも中に入れません。Gregg夫人のキッチンで料理をしたり、Greggさんの銃を触ったり、ベッドに入って寝ていたり、おもちゃで遊んだり、カモ達はやりたい放題です。『何を食べたらいいの?』とGregg夫人。『虫の幼虫やナメクジを食べるくらいなら、死んだ方がマシ!』と子供達。『羽が生えてるからと言って、鳥の食べ物を食べる必要などないさ。リンゴを食べよう。』とGreggさん。ところがリンゴの木に飛んで行ってリンゴを食べようとすると、手がないためにうまく食べられません。ほんの少しだけ食べたところで暗くなってしまい、巣に戻って休みます。その夜は、強い風と雨のため、巣の中は水浸しになってしまいました。

 

何とかやり過ごした翌朝。目覚ると、巣の下に4羽のカモ達がいます。しかもそのうちの3羽は、銃を構えています。そして、銃の狙いがGregg一家に定められます。『どうか撃たないで!』とGreggさん。『あら、どうして?あなた達はいつも、私達を撃ってるじゃないの』と、銃を持っていないカモが答えます。

 

『それとこれとは別です。私達はカモを撃つことを、許可されているのです。』

『それは誰が許可しているのか?』

『それは…私達、人間同士で許可しあっているのです。』

『なるほど。では私達カモも、お互いに、人間を撃つことを許可しあうことにしよう。』

『どうかお願いします、子供達は撃たないで下さい。』

『昨日あなた達は、私の子供達を全て撃ったんですよ。』

 

というやりとりが続き、Greggさんはこの先、絶対に銃で動物を殺さないことを約束させられます。すると、『よろしい。では、もう降りてきても良いです。ところで、あなたの巣は、初めてにしては上出来でしたよ』とカモ。

 

Gregg一家が地上に降りると、急に周りが真っ暗になり強風が吹き付けたかと思うと、周りは青色になり、そして緑色、赤色から黄色に…。気が付くと、家族全員で庭に立ち、全てが元通りになっています。『羽がなくなって、手が戻ったぞ!』大喜びのGregg一家の上空を、4羽のカモが池に向かって飛んで行きました。

 

それから30分ほどして、Greggさんのところに出掛けた主人公が見たものは…。Greggさんが、ハンマーで銃をバラバラに砕いて壊していて、Gregg夫人が16基のカモのお墓に、花を添えています。PhillipとWilliamは、たくさんの鳥達に餌をやっています。『Greggさん、おはようございます』と声を掛けると、『私の名前はもう、Greggじゃないんだよ。鳥達に敬意を表して、”Egg”に改名したんだよ』とGreggさん。主人公はそこで初めて、昨晩何が起こっていたのかを、子供達から聞いたのです。

 

すると突然、銃の音がします。『誰かが銃を撃ってるわ!』『あぁ、多分Jim Cooperだろう』とEggさん。それを聞くと、頭に血が上り、体中がカーっと熱くなり、指先がブルブルし始め、主人公は突然走り出しました。『今晩、Cooperさん一家は全員、木の上の巣で眠ることになるんだわ!』

 あとがき

どなたか親切な方が、朗読して下さっている動画を見つけました。文字もイラストも見ることができますので、本を持っていらっしゃらない方、買おうかどうか迷っていらっしゃる方は、ご参照されて下さい。

 

 

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通常、一文一文和訳することはあまりお勧めしていませんが、Roald Dahlの本に関しては、和訳しながら読んでも、途中で嫌になってしまうことはないと思います。話し言葉の部分でも、それほどくだけた表現は見られず、文の構造の分かりやすい文章で、比較的易しい単語で書かれています。『読みやすい!』ということで、シリーズを全て読破された方もいらっしゃいますよ。

 

来月解説予定の“A Home for Rascal” (My Naughty Little Puppy) by Holly Webb”を既に読まれている方には、もしかするとRoald Dahlシリーズは、若干物足りない感じがするかも知れません。ストーリーの面白さと、読みやすさ(章で区切られているので、短い時間を有効活用して、少しづつ読めます)では、”My Naughty Little Puppy”がお勧めですが、Roald Dahlでは、知らない単語が多くて悩むことはほとんどありません。

次回予告

と言うことで、次のお勧め図書“A Home for Rascal” (My Naughty Little Puppy) by Holly Webb”の解説は、来月の月末になります。よく質問のある”cross”を始め、”see red”や”mind one’s own P’s and Q’s"については、木曜日に解説予定です。2014年以降の読書会(木曜日グループ)にご参加頂いている方には、重複する内容となってしまいますが、何卒ご了承くださいませ。

 

ではまた来月。