隙間時間の英語雑学T-49

Thursday, 12th August 2021   

 

今週の英語雑学 – “King Lear -2”

 

先週に引き続き、Regina Buccola教授による"King Lear"の動画です。

 

King Lear by William Shakespeare | Summary & Analysis

www.youtube.com

 

今週は”Themes”になります。8分20秒あたりから始まっていますね。

 

解説    

老い

King Learの物語中に起こることは、老いから来る権力闘争が発端となっています。自分の所持する王国を分割して、退位するというKing Learの行動が、後続する全ての出来事の引き金となっているのです。唯一の例外は、Earl of Gloucester父子間での展開ですが、これも、主題と深く関わっています。

 

老いという問題から展開している悲劇的な皮肉は、King Learと娘達のみならず、Earl of Gloucester家の父親と息子達にも共通しています。権力を渇望する若い世代は、年長者の退位に時間が掛かり過ぎていると感じるのです。

 

家族関係・親子関係

King Learの物語は、父子間のみならず、兄弟姉妹間の関係を含んだ家族間の関係にも取り組んでいます。これらの人間関係の問題は、無から生ずるのではなく、権力者の退位、子供達への依存、…と言うように、順序を追って展開してゆきます。

 

 

 

家族間の問題は、感情的なものだけに留まりません。Earl of Gloucesterは、隠し子を持つという過去の自分の過ちを笑いますが、その婚外子が家族にとって、途方もない災いを持たらすことになります。

 

また、オープニングシーンは、King Learnにとって、娘達に対する愛情が、いかに重要であるかが示されていますが、彼は娘達を愛するだけではなく、娘達からの愛情も要求します。その場面で、最愛の末娘からの愛情を、著しく誤解しています。

 

 

狂気と愚かさ

私利私欲、無知、過度な信頼などが、正常な判断の妨げとなり、過ちを犯すという愚かさが、物語随所に描かれています。一方、理性をかなぐり捨ててしまうと、狂気や愚かさを通じて、より明確に見えて来る場合もあります。これを最初に実践したのが、道化でした - King Learの犯した過ちを、正確に言い当てたのです。

 

このように、実際に分析する人物を取り入れることは、数少ない手法の一つです。徐々に迷信やら宗教的なものから、近代的で科学的なアプローチへと移行していることが見て取れます。

 

視覚(洞察力)

視覚はこの物語の主要なテーマと言えます。このテーマは、文字通りの意味と、中層的な意味と両方から探求されています。最初のシーンで、King Learがステージに現れる前に、King Learに最近起こった変化について、別の登場人物達が話し合っています。また後になって、King Learは、娘達の心を見抜くことができるかのように振る舞うも、娘達の言うことすら理解できず、Kentの変装すら見抜けないのです。

 

忠誠心

言い争いや困惑から生み出された闘争は、そもそも忠誠心という概念があるが故に存在します。King Learは家族に対して忠誠を尽くし、家族はKing Learに対して忠誠を尽くすべきですが、そうはなっていません。同様に、父親は息子達に対して忠誠を尽くすべきですが、これも成り立っていないのです。

 

物語のストーリー上、欠くことのできないこの忠誠心は、『自然の秩序』や『自然の法則』と類似しており、肯定的に働けば、社会に利益をもたらすのです。ところが、忠誠心が揺らいでしまうと、混乱を招き、国家全体が被害を被ることすらある、ということが示されています。

 

次回予告

一旦イディオムに戻りますが、いつでも変更可能ですので、苦情、リクエストなどありましたら、お気軽にご連絡下さいませ。

 

ではまた来週。